音楽や映像など、創作的表現には「著作権」があり、著作権法で保護されています。
個人で音楽等を楽しむ際も、この著作権を侵害しないように気を付けなければいけませんが、「そもそも著作権ってどういうもの?」「どこからが著作権侵害になるのかよくわからない」といろいろ疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回から数回にわたり、著作権の現状について説明します。
■著作権とは
著作権は、特許権や商標権などと並ぶ「知的財産権」のひとつ。
文化の発展のために、著作物を保護する役割を担っています。
ここで保護される著作物とは、「思想や感情を創作的に表現した文芸・学術・美術・音楽(著作権法2条1項1号)」です。
具体例としては、小説や脚本、楽曲、歌詞、踊りの振付、絵画、映画、ゲーム、写真、コンピュータプログラムなどが挙げられます(10条1項)。
そして、著作物を利用して、完全な複製や、本質的に類似したものを作りだす行為が「著作権侵害」ということになります。
■2009年著作権法改正
一昔前ならばそれなりに手間がかかった著作物の複製も、デジタル化が進む近年ではたやすく複製を作ることができるうえ、その頒布も大変簡単です。
しかし、かつての著作権法は、著作物を権利者に無断でアップロードする行為を禁じる一方で、違法な著作物であっても私的使用目的である限りは「私的使用のための複製」としてダウンロードを許していたため、違法な著作物の拡散が防げないという弱点がありました(ダウンロードは、サーバー上に保存されているファイルのコピーを自分のパソコン等の中に作成するため、「複製」と評価されます)。
この点を是正すべく、著作権法は2009年に改正されることになります。
本改正では、違法配信された音楽・映像等を、違法と知りつつダウンロードする行為を禁止し、民事上の違法行為と指定しました(著作権法30条1項3号)。
ただし、この時も違反者に対する罰則までは設けられませんでしたので、違法な着うたサイトやファイル共有ソフトを通じて音楽等のダウンロードを行った場合に、民事上の損害賠償等を請求される可能性があるに過ぎませんでした。
ちなみに、「YouTube」や「ニコニコ動画」などのストリーミング配信(データ受信と同時に再生すること)を閲覧する際にパソコン等の内部に一時的に作成されるキャッシュ(高速処理のためにつくられる複製データ)や、検索エンジンが行うコンテンツの複製などについては、基本的に権利者の許諾が必要ないとされたので、こうしたサービスを利用しただけで違法ダウンロードとはなりません。
次回は、この2009年改正後の著作権事情と2011年改正についてお話しします。