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違法ダウンロード処罰2~2012年著作権法改正~

 前回、2009年の著作権法改正により、違法配信された音楽等をダウンロードする行為も違法化されたと説明しました。
しかし、この改正によっても、著作権侵害の顕著な改善は得られなかったのです。

■音楽業界の苦戦と違法ダウンロード

 たとえば、音楽業界の音楽ソフト売上(CD、音楽ビデオ等)は、全盛期だった1998年の6074億円から、2010年には2836億円まで落ち込みました。
 本来、この3000億円あまりの差を埋めるべきデジタル配信も、年間900億円と振るわず、以前厳しい状況が続いています。

 2010年に行われた日本レコード協会の調査によれば、違法ファイル等の推定ダウンロード数は43.6億ファイルであり、正規有料音楽配信のダウンロード数約4.4億ファイルのおよそ10倍とされています。
 一方で、実際に足を運んで鑑賞するライブイベントに関しては、従来とさほど変わらない利益を上げていることから、上記の音楽業界の苦戦が人々の音楽離れによるものとは考えにくく、違法ダウンロードが与える影響の深刻さが見て取れます。

■2012年著作権法改正

 こうした状況を踏まえ、2009年改正で違法化された「違法ダウンロード」のうち、「公衆に有償で提供されている著作物を違法ダウンロードする行為」について、ついに罰則が設けられました(違法ダウンロード刑罰化、2012年著作権法改正)。
本罪は親告罪なので、著作権者からの告訴がなければ公訴は提起されませんが、裁判の結果、もし有罪となれば、2年以下の懲役か200万円以下の罰金、もしくはその両方の罰則が科されることになります(著作権法119条3項)。

 次回は、刑罰の対象となる違法ダウンロードがどのようなものか、詳しく見ていくことにしましょう。

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