2012年著作権法改正により、従来は法的責任を問われなかった違法ダウンロードに対して、罰則が設けられることになりました。
今回は、身近な行為が違法ダウンロードにあたるかどうか検討します。
■違法ダウンロードの典型例は?
ファイル共有ソフトやオンラインストレージ(オンラインで利用できる外部記憶装置のこと。他人とファイルや画像を共有できる機能あり)に無断で提供された動画や音楽をダウンロードする行為、違法な着うたサイトなどから音源をダウンロードする行為などです。
■YouTubeなどで動画を見ることは違法?
違法ダウンロードとは、「違法にアップロードされた有償の著作物」を、違法なものと知りつつダウンロードすることです。
したがって、適法にアップロードされた動画であれば、そもそも違法ダウンロードの対象にならないので、閲覧しても問題ありません。
反対に、違法アップロードされた動画を視聴する場合は、YouTubeなどが採用しているストリーミング方式の性質上、「キャッシュ」と呼ばれる通信効率化のための一時ファイルがパソコン内に保存されますので、形式上は、規制対象の違法な著作物ということになります。
ただ、こうした情報処理に必要なデータ保存であれば、著作権法47条の8で適法と認められていますし、前々から文化庁も違法でないとの立場を示していますので、閲覧程度なら、今のところ取締りを受ける可能性は低いでしょう(実際の裁判所の判断が出るまで安心はできませんが...)。
■動画をダウンロード・変換してもよい?
上でも述べたように、適法な動画であれば、無許可でダウンロードしても処罰されることはありません。
しかし、違法動画をダウンロードする行為は処罰対象となり得ます(2年以下の懲役か200万円以下の罰金、もしくはその両方。改正著作権法119条3項)。
また、ダウンロードの際に、動画に施されたコピー防止技術を回避するようなツールを用いた場合は、「技術的保護手段の回避」という違法も生じます(こちらは刑事罰なし)。
以上のケースは、私的使用を前提としていながらも違法とされるものです。
ダウンロード先によっては、また違った評価を受けることもあります。
たとえば、ファイル交換ソフトを用いてダウンロードする場合などは、入手した動画を他人と共有できるようにするのですから、そこに私的使用の意思はないと判断されます。
このような違法ダウンロードは違法アップロードと同視され、より重い10年以下の懲役または1000万円(法人は3億円)以下の罰金、あるいはその双方に処されることになります。
刑罰の重さが格段に違うので、ファイル交換ソフトをお持ちの方はうっかり使わないように注意しましょう。
ちなみに、本改正のほとんどは2013年1月1日から施行ですが、違法ダウンロード刑罰化を含む一部規定は2012年10月1日から施行です。