「借りたDVDを複製して手元に置いておきたい。」
「買ったDVDの内容を携帯端末にもコピーしたい。」
少し検索しただけでも多数のリッピングソフトが見つかる昨今では、こうした望みは簡単に叶えられてしまいます。
しかし、実際にDVDのリッピングを行えば、著作権法違反として罰せられる可能性も...。
どんな場合が違法になるのか、これから詳しく見ていくことにしましょう。
■リッピングとは?
「リッピング」の語源は英語の「rip(吸い出す)」。
DVDやCD等に記録されたデジタルデータをパソコンに読み込む(吸い出す)ことから、こう呼ばれるようになりました。
しかし、市販のDVDなどにはCSSという無断複製の被害を防ぐための視聴制限技術が施されており、ただコピーを作っただけでは再生ができない仕組みになっています。
こうした、CSSをはじめとするさまざまな制限技術を解除して再生可能なコピーを作成するのがリッピングソフトで、これまでは無料で手に入れることもできました。
■従来のリッピングの法的位置付け -合法?違法?
まず、私的使用目的以外での無断複製はそもそも許されないということは「私的複製」の記事で触れたとおりですので、ここからはすべて私的使用の範囲内でのリッピングと考えて読み進めていってください。
著作物を無断複製の被害から守るためには、2つのアプローチが考えらえます。
- コピーガード(複製を制限する方法)
- アクセスガード(視聴を制限する方法)
です。
従来、著作権法は、このうち(1)コピーガードだけを保護の対象(技術的保護手段、2条1項20号)としていたため、著作権法違反かどうかの判断は、そのリッピングが「複製制限を解除しているかどうか」という点に求められていました。
(※(2)アクセスガードについては、視聴行為自体は権利者を侵害しないということで著作権の保護の対象外。)
すでに述べた通り、市販のDVDに施された制限技術は「視聴制限」=(2)アクセスガードなので、これを解除してコピーを作成しても、著作権法には抵触しません。
しかし、以上はあくまで2012年9月末までの話です。
2012年6月20日、著作権法の一部が改正され、違法とされるリッピングの範囲が広がりました。
同年10月1日施行の改正法でDVDリッピングの扱いはどう変わるのか、次回説明します。