前回、著作権法2012年改正前は、アクセスガードを解除するDVDリッピングは基本的に合法とされてきたと話しました。
その理由は、著作物の無断複製を防ぐために施される
- コピーガード(複製制限=コピーを防ぐ)
- アクセスガード(視聴制限=使用を防ぐ)
という2つの制限技術のうち、著作権法の保護を受ける「技術的保護手段(著作物を保護するための技術)」に指定されていたのが(1)だけだからです。
■著作権法2012年改正による変更点
しかし、2012年10月1日施行の改正著作権法では、(1)コピーガードだけでなく(2)アクセスガードも「技術的保護手段」に含めよう!ということになりました。
したがって、従来は見逃されていた私的使用目的のDVDリッピングも今後は違法になるということです。
DVDの映像を携帯端末などに取り込むこともできません。
ちなみに、同様の理由から、(2)アクセスガードを解除してゲームソフトをコピーする「マジコン」も規制の対象になります。
■違法なリッピングの罰則とは?
リッピングソフトを利用して複製を作っただけでは、刑事罰まで科せられることはありません。
しかし、リッピングソフトを提供した者については3年以下の懲役か300万円以下の罰金、またはその両方が科されることになっています(著作権法120条の2第1項第1号)。
なお、保護技術を施されていない通常のCDなどは、私的使用の範囲内であればいくらリッピングしても違法ではありません。
これをポータブル音楽プレイヤーに取り込むのも問題ないでしょう。
■以前リッピングしたDVDも捨てなきゃだめ?
今回の改正の効力は施行後のものにしか及びませんので、過去、適法にリッピングしたDVDが遡って違法とされることはありません。
ただ、そのリッピングDVDが適法と言えるのはあくまで私的使用の範囲にあるからなので、慌てて他人に譲ったりしてはいけませんよ。