著作権は、音楽や美術など「いかにも」なものから、コンピュータプログラムに至るまで、結構広く認められています。
これまでは法律であらかじめ著作物の適正な使い方を定め、それ以外は違法としていましたが、この方法では法が時代の後追いになってしまって、どうも使い勝手が悪い。
そこで、ひとまず「公正な利用」とみなせるだけの包括的な条件を定め、それをクリアすれば利用可能としておいて、実際の細かい使い方の是非に関しては裁判所の判断に委ねるという方式(フェアユース)の導入が検討されることになりました。
前回は「写り込み」が基本的に適法とされるということで、一般市民にも関係のある話でしたが、今回はやや企業寄りの話です。
■商品(著作物)開発のための資料作成における複製(著作権法30条の3)
適法な著作物利用の過程で生じる、合理的な著作物利用は、質的・量的に軽微であれば著作権侵害にならないとされました。
たとえば、キャラクター商品を開発する際に、社内会議用の資料や、著作権者に許可を貰うための企画書・提案書などにそのキャラクターを掲載(複製)するのは問題ないということです。
このほか、CD作成の前段階として、マスターテープ等に著作物たる楽曲を複製する行為なども含まれます。
いずれも商品開発に不可欠な行為ですので、従来から特に問題とされていなかったはずですが...確認の意味合いが強いものと言えるでしょう。
■技術開発のための複製(著作権法30条の4)
その利用の目的が「著作物の『表現』を享受すること」ではない場合は、問題なく利用できます。
具体的には、映画や音楽の再生技術を作成するにあたり、技術開発やその検証に必要な限度で映画・音楽の複製を行うような場合です。
芸術の表現をよりよく伝える技術を開発するためには、実際の著作物を利用することも大切なのでしょうね。
ただし、試験的な利用の範囲を超えるような行為(開発後の販売促進等で勝手に音楽をかけることなど)は許されません。
■情報提供の準備に必要な情報処理のための利用(著作権法47条の9)
ネット上の情報送信円滑化・効率化に必要なコンピュータ処理を行う際、その準備に必要な限度で著作物をメディアに記録・改作できるというものです。
高速処理のために使用頻度の高いデータを保存しておいたり、ファイル形式を変換したりといった行為を指していると考えられていますが、これもまだ基準が曖昧です。
ただ、高速化の目的で記録した動画をYouTubeにあげるなど、一般公衆とデータを共有することは許可されていませんのでご注意ください。