学生時代を振り返ってみれば、実にさまざまな著作物を利用して学習していたことがわかります。
国語や英語は小説などが題材にされていましたし、音楽では楽曲を鑑賞したり、歌ったり、演奏したりしましたよね。社会や美術でも、時代の絵画や歴史的至宝が出てきました。
こうした教育活動と著作物の密接な関係を考慮して、学校等の教育機関には一定の範囲で複製が認められています(著作権法35条)。
■先生・生徒は授業のために著作物を複製できる
まず、営利を目的としない学校であれば、先生と生徒は授業目的で公表された著作物を複製できます(同条1項)。
予備校や塾は営利目的ですので、著作物を利用する際は著作権者の許可がいります。
また、PTA会合や授業参観のために保護者が複製を作成するという場合も、生徒ではないので対象外です。
■「授業」の範囲は?
原則的には、小・中学校、高等学校の学習指導要領に定められた教育活動、大学等の単位認定の対象となる教育活動が「授業」であると考えられています。
その他の活動については未だ意見の分かれるところなので、今回は日本書籍出版協会の提示する著作権法35条ガイドラインを参考にあげることにします。
→ クラブ活動
現在、必修のクラブ活動は廃止されており、課外活動という扱いになっています。
「学習指導要領に定められたものが授業」という上の原則に従うならば、クラブ活動は授業ではないと考えるべきでしょうが、仮に出席や単位取得が必要なクラブ活動があるならば、それは授業とみなして構いません。
→ サークル活動、同好会
サークル活動は学校の教育計画をはずれた自主的な活動なので、授業にはあたりません。
→ 生徒の自宅学習
生徒の自宅学習用教材が授業と関連なく作成されたものであれば、授業の範囲外です(関連性があれば授業と認められる余地あり)。
基本的に、学校行事に組み込まれていて、出席を強いられる類のものは、林間学校など校外の活動でも「授業」、それ以外のものは行為地・開催地が学校であっても「授業でない」と分けているようです。