裁判員のための一口判例解説
裁判員のための一口判例解説に関する記事一覧(3ページ目)
共同正犯と幇助犯
~福岡地裁昭和59年8月30日判決~ 数人で犯罪を行う場合、それぞれの役割の重さに差が出ることがあります。 その場合、比較的軽い役割を担った者に関して、「主体的に罪を犯した(共同正犯、刑法60条)... 続きを読む
安楽死
~横浜地裁平成7年3月28日判決~ 日常的に人の死に関わる医師であっても、自分の処置でひとつの命を終わらせる「安楽死」は大変重い問題です。 今回の事案では、この安楽死のあり方が問われました。 末... 続きを読む
逃走中の暴行と強盗致死傷
~最高裁昭和24年5月28日判決~ 強盗犯が人を殺してしまった場合、その殺人行為が強盗行為と時を同じくして行われたものか、それとも別の機会に行われたものかというのは重要な問題です。 強盗行為と同じ... 続きを読む
不作為による放火
~最高裁昭和33年9月9日第3小法定判決~ とんでもないことをしでかした場面では、「知らんふりしてしまいたい...」という気持ちが芽生えることもあります。 しかし、それがさらに重大な結果を引き起こ... 続きを読む
強盗罪の暴行脅迫
~最高裁昭和23年11月18日第一小法廷判決~ 「強盗」と一口に言っても、状況によってその恐ろしさはさまざまです。 屈強な成人男性が小柄な少年に脅される場合と、お婆さんが成人男性に脅されるのとでは... 続きを読む
誘拐罪の保護法益
~福岡高裁昭和31年4月14日判決~ 犯人にうまく丸め込まれた場合など、誘拐された本人に「誘拐された」という自覚がないこともあります。 この本人が未成年である場合、その未熟さから判断を誤り、このよ... 続きを読む
共犯からの離脱
~最高裁平成6年12月6日第3小法廷判決~ 複数人が共同して実力行使し、たちの悪い酔っ払いの絡みを跳ね除けるのはよくある話です。 刑法は36条1項で、差し迫った不正の侵害に対する防衛行為は罰しない... 続きを読む
共犯と身分
~最高裁昭和42年3月7日第三小法廷判決~ 先日、海外で麻薬の密輸入の嫌疑をかけられていた日本人男性が16年ぶりに帰国したとの報道がありました。 麻薬密輸入の罪は、国によっては死刑に処せられるほど... 続きを読む
実行行為と責任能力
~長崎地裁平成4年1月14日判決~ 年末年始はお酒を飲む機会が多かった方もおられるのではないでしょうか?ただ、お酒も楽しいお酒ばかりとは限りません。酔って暴れて罪を犯してしまう危険性もあります。 ... 続きを読む
自殺関与罪と殺人罪
~福岡高裁宮崎支部平成元年3月24日判決~ 自分が良かれと思ってしたことが実は犯罪で、警察に追われていると聞かされたら。 あなたならどんな反応をするでしょうか。 被告人Xは、一人暮らしの女性A(... 続きを読む
因果関係の錯誤
~大審院大正12年4月30日判決~ 犯人を罪に問う場合、犯人がなした行為と生じた結果の間に原因・結果の繋がりがなければいけません。 さらにその行為には「わざとそれをした」という故意が求められます(... 続きを読む
不作為による殺人
~東京地裁八王子支部昭和57年12月22日判決~ 虐待の末、家族や同居人を死なせてしまう事件は後を絶ちません。 なかには、虐待してしまった後に適切な救護措置さえ講じないケースも多く見受けられます。... 続きを読む
警察官の発砲と特別公務員暴行陵虐罪
~最高裁第一小法廷平成11年2月17日決定~ 警察官は職務にあたって警棒や拳銃といった武器を携帯していますが、被疑者に怪我をさせた場合など、武器の使用に関して責任を問われることがあります。 警察官... 続きを読む
法律の不知
~最高裁昭和32年10月18日第二小法廷判決~ 日本の法律は量が膨大なうえ、社会情勢に応じて増えたり、改められたり、廃止されたり...と年々変化します。 中には違反すると処罰される法律も数々存在し... 続きを読む
誤想過剰防衛(勘違い騎士道事件)
~最高裁昭和62年3月26日決定~ 人は、殴られそうになるなど危険な目にさらされれば、とっさに身を守ろうとしますよね。 この危険が差し迫った不正なものであって、相手を突き飛ばすにせよ、殴るにせよ、... 続きを読む
承継的共犯
~大阪高裁昭和62年7月10日判決~ ある人間に集団で暴行を加えているときに、また新たな仲間が加わって暴行を重ねることはよくありますね。 今回の事案もこのようなケースです。まずは、詳細を見てみまし... 続きを読む
驚愕と任意性
~福岡高裁昭和61年3月6日判決~ 犯罪に手を付けたものの、犯人が途中で犯行をやめる場合があります。 そのきっかけは、警察が来たからとか、「悪かった」と反省したからとか、事件によってざまざまでしょ... 続きを読む
事後強盗罪の暴行
~大阪高裁平成7年6月6日判決~ 空き巣が家人に見つかってしまい、包丁を突き付けて脅しながら逃げる。 一般的には、こんな話も珍しくありません。 このように、窃盗犯人が逮捕を逃れたり、盗んだものを... 続きを読む
死刑選択の基準 [永山事件]
~最高裁昭和58年7月8日判決~ 現在、わが国の死刑存置支持者は8割を超えています。 まだまだ「本当に悪いことをしたら死刑になるべきだ」という意識は根強いようですが、皆さんは、死刑になる具体的な状... 続きを読む
殺人の実行行為と故意
~最高裁平成16年1月20日判決~ 被害者に直接害を加えて殺害するのではなく、被害者に死ねと強要することで何らかの行動に出させ、死亡結果を発生させようとした場合、この加害者の行為が「人を殺す行為」と... 続きを読む
被害者に存在した異常と因果関係
~札幌地裁平成12年1月27日判決~ 蜂に刺されたときに腫れるだけで済む人と、ショック症状まで出てしまう人がいますよね。 それと同様に、同じ強度の暴行でも、それを受ける相手の事情によって被害結果に... 続きを読む
保護責任の根拠
~最高裁昭和34年7月24日判決~ もしも、病人や子供など、生命維持に手助けを要する者に対して、面倒をみるべき者が何もしなかったとしたら...当然、相手は生命や身体に深刻なダメージを受ける危険にさら... 続きを読む
接触のない暴行
~東京高裁平成16年12月1日判決~ 傷害が過ぎて相手を死なせた場合、傷害致死罪になります。 この傷害の成否は、身体に対する不法な実力行使、つまり「暴行」があったかがポイントです。 実力行使とい... 続きを読む
強盗利得と処分行為
~最高裁昭和32年9月13日判決~ 強盗罪といえば、暴行や脅迫によって財産的価値のあるものを無理やり奪うこと(刑法236条)。 こう言うと、ナイフでも突きつけてお金を出させ、それを奪うような状況を... 続きを読む
不作為の幇助
~札幌高裁平成12年3月16日判決~ 近年、子供が実の親と内縁関係にある者から殺害される事件が頻繁に報道されています。 その時、実の親は何もしていないこともしばしば。 この何もしなかったという... 続きを読む
危険運転致死傷罪(信号無視危険運転)
~最高裁平成18年3月14日第2小法廷決定~ 平成13年、飲酒運転などに対する社会的非難の高まりに伴い、危険運転によって人を死傷させる行為を罰する危険運転致死傷罪(刑法208条の2)が創設されました... 続きを読む
強制わいせつ罪の主観面
~最高裁昭和45年1月29日第1小法廷判決~ 「裸になれ」等、意に沿わないかたちで性的な要求をされたら、誰だって恥ずかしいし嫌なもの。 刑法は、こんな要求をはね除け、性的自由を守るという観点から、... 続きを読む
公共の危険の認識
~最高裁昭和60年3月28日第一小法廷判決~ 家の前に新聞紙などを置かないよう気を付けているという方は、結構多いのではないでしょうか。 出していた物に放火されたという話、よく聞きますものね。 こ... 続きを読む
侵害の急迫性
~最高裁昭和52年7月21日第一小法廷決定~ 殴られそうになったので咄嗟に相手方を蹴って逃れた、という場合、これを犯罪だ!傷害罪だ!というのは少々気の毒ですよね。 刑法上、急迫不正の侵害(現在差し... 続きを読む
結果的加重犯と過失の要否
~最高裁昭和32年2月26日第三小法廷判決~ よくある設定ですが、暴行の結果、相手は死んでしまったが、殺すつもりはなかった場合、刑法ではどのように処理されるのでしょうか。 犯人の意識としては15年... 続きを読む