裁判員のための一口判例解説
裁判員のための一口判例解説に関する記事一覧(4ページ目)
強姦罪の実行の着手
~最高裁昭和45年7月28日第三小法廷決定~ 皆さん強姦罪(刑法177条)は比較的よくご存知の罪かと思います。 そうです、暴行や脅迫を用いて、無理やりに女子を姦淫する行為ですよね。 これは強制的... 続きを読む
外国人被告人と法廷通訳
~大阪高裁平成3年11月19日判決~ 近年、社会・経済の国際化に伴い、外国人犯罪が増加しています。 その被告人には日本語が話せない者も多く、捜査・法廷では通訳をつけて対応しています。 法廷通訳人... 続きを読む
宿泊を伴う取調べ(高輪グリーン・マンション殺人事件)
~最高裁昭和59年2月29日第二小法廷決定~ 刑事訴訟では、物的証拠のほか供述証拠も重要な証明手段。 捜査機関は、供述証拠を集めるためにしばしば任意で被疑者を取調べます。 任意といえど、身体を拘... 続きを読む
犯罪結果を防止する行為の真摯性
~大阪高裁昭和44年10月17日判決~ 犯罪を実行してしまったけれど、それを後悔して何とかしようとする。 人間としてはその気持ち、わからなくもありません。 刑法は、犯罪の実行に着手しても自力でそ... 続きを読む
幇助の因果性
東京高裁平成2年2月21日判決~ 犯罪の実行行為をしていなくたって、その手助けをしたなら罰してもらいたい。 そんな考えに対応するのが幇助犯の概念です。 幇助とは、実行行為以外の行為によって、正犯... 続きを読む
親族相盗例
~最高裁第2小法廷平成6年7月19日決定~ 息子が母親の財布からお金を抜き取ったというような、身内での窃盗は、どのような評価を受けるべきなのでしょうか。 まず、物には、それを「自分のものだ」と正当... 続きを読む
原因において自由な行為
~名古屋高裁昭和31年4月19日判決~ わが国の刑法は、犯行時に判断能力が著しく欠けている状態なら心神耗弱として刑を減軽したり(刑法39条2項)、判断能力がない状態なら無罪とします(同条1項)。 ... 続きを読む
浄水汚染罪[食用紅混入事件]
~最高裁昭和36年9月8日判決~ 人間が生きていくうえで水の摂取は不可欠。 飲み水の安全は、刑法上も特に保護の必要があります。 この役割を果たすのが「飲み水を汚染して使用できないようにする行為」... 続きを読む
自首
~大阪高裁平成9年9月25日判決~ 警察が踏み込んでくる前に自主的に名乗り出れば、自首が成立して、刑が軽くなるんでしょ?そう思っていらっしゃるそこのあなた。 実は、自首は、逮捕前なら無条件に認めら... 続きを読む
刑事未成年者の利用と間接正犯
~最高裁昭和58年9月21日判決~ 「あれ、とってこい」 こんな風に、ある人間が誰かに指示して物を盗ませたとき、その行為はどう評価されるのでしょう。 ちょっとそそのかしただけで、犯行は実行した他... 続きを読む
通貨の変造
~最高裁昭和50年6月13日判決~ 透かしやホログラム、微細な文字の数々。 皆さんご存知のとおり、日本の通貨には、偽物を作られないようにする工夫がたくさん施されています。 ... 続きを読む
現行犯逮捕に際する傷害の違法性
~最高裁昭和50年4月3日判決~ 「そいつは泥棒だ!捕まえてくれ!」 必死の呼びかけ、そして、目の前には現行犯が。 一般人による現行犯逮捕は、形式的には不法な逮捕として逮捕監禁罪(刑... 続きを読む
暴行の意義
~最高裁第3小法廷昭和39年1月28日決定~ ちょっと脅すつもりが、相手を死なせてしまった。 脅す手段によっては、このような結果を招くこともあります。 とった手段が脅迫(害を加えると告... 続きを読む
管理・監督過失
~大洋デパート火災事件・最高裁平成3年11月14日第1小法廷判決~ ホテルやデパートなどの施設火災や、工場災害などで死傷者が出た場合、責任を問われるのは、直接の原因をつくった現場の従業員だけではあり... 続きを読む
空気注射と殺人罪
~最高裁第2小法廷判決昭和37年3月23日~ 「人を殺そう」なんて考えは全く誉められたものではありませんが、その目的を遂げるためには、それだけ危険な行為が必要となります。 罪を犯そうと実行した行為... 続きを読む
夫婦間の強姦
~広島高裁松江支部昭和62年6月18日判決~ 夫婦の間に強姦なんて成立するの? タイトルを見てそう感じた方もいらっしゃるでしょう。 基本的に、暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫する行為... 続きを読む
脳死と刑法上の死
~大阪地裁平成5年7月9日判決~ 臓器移植のための脳死判定などで、世間的に浸透してきた「脳死」。 実際にはどのような状態かご存知ですか? 脳死とは、全ての脳細胞とは言わないまでも、多くの脳細胞が... 続きを読む
安否を憂慮する者(身代金目的拐取罪)
~最高裁第二小法廷昭和62年3月24日決定~ 「身近な人が誘拐された!」 こんな状況に置かれた者は、被害者救出のためあらゆる手を尽くそうとします。 こんな心情につけこんで財物を奪おう... 続きを読む
遺棄行為の客体
~最高裁昭和60年12月10日決定~ 飲みすぎて、もはや正気を失っている人。 深夜ともなると、繁華街にはそんな姿がちらほら... 介抱するのは大変ですが、放置すれば場合によって大変な... 続きを読む
電車転覆による人の死の責任〔三鷹事件〕
~最高裁昭和30年6月22日大法廷判決~ 線路上しか走らないはずの電車が、線路を外れ、自分に向かってきたら... 考えただけでも恐ろしい話ですが、実際に起こった事件なのです。 昭和24... 続きを読む
被害者の同意
~最高裁昭和55年11月13日第二小法廷決定~ いいから殴ってくれ、と言われたので殴ったところ、「傷害罪だ!」なんて言われてしまったら...あなたならどう感じますか? 自分が殴れと言った... 続きを読む
胎児傷害[水俣病刑事事件]
~最高裁昭和63年2月29日第3小法廷決定~ 人はいつから「人」として法の保護を受けられるのでしょうか? 有毒物など、何らかの作用により傷害を受けた胎児が出生して「人」になった場合、これ... 続きを読む
共同正犯と中止未遂
~最高裁昭和24年12月17日判決~ 何かをしていて、気が変わることってありますよね。 犯罪の実行に着手した後、自己の意思に基づいてその行為を中止することを中止犯といい、刑が減軽または免... 続きを読む
防衛の意思と攻撃の意思
~最高裁昭和50年11月28日第三小法廷判決~ 急に危ない目にあえば、身を守ろうと思わず反撃してしまうもの。 こんな状況を保護するため、刑法は36条で正当防衛を認めています。 正当防... 続きを読む
責任能力の判定基準
~最高裁昭和59年7月3日第三小法廷決定~ 精神障害を持つ者の犯罪でしばしば問題となる「心身喪失」や「心神耗弱」。 刑法上、これらの考え方は責任能力の有無という問題に該当します。 ... 続きを読む
艦船の破壊
~最高裁昭和55年12月9日第一小法廷決定 破壊の方法はおおまかに分けて、物質的破壊と用法的破壊の2つが考えられます。 物質的破壊とは、叩き壊す、穴をあけるというように、物自体を損傷... 続きを読む
偽装心中と殺人罪
最高裁昭和33年11月21日第二小法廷判決 悲恋に自ら死を選択する2人。 物語などにもしばしば描かれるこのような場面も、片方に死ぬ気のない場合は、単なる心中、自殺の問題では済まされません... 続きを読む
条件付故意
~最高裁昭和59年3月6日第三小法廷~ 犯罪遂行の意思は固まっていても、一定の条件下でなければ発動しない、そんな意思を条件付故意といいます。たとえば、「抵抗したら殺す」等。 条件が付いて... 続きを読む
不作為の因果関係
~最高裁平成元年12月15日第三小法廷決定~ 「あの時ああしていれば」 重大な結果が起きれば、何もしなかったという不作為が悔やまれることもあります。 作為があれば結果が回避できたとい... 続きを読む
死者の占有
~最高裁昭和41年4月8日第二小法廷判決~ あなたの持ち物、「自分の物」と言えるのはいつまでだと思いますか。 その物を事実上支配している間?ではあなたが死んでしまった場合は? 一般に... 続きを読む