生まれたときから可愛がっていた犬が散歩中、暴走してきた車にはねられて死んでしまいました。その犬は家族同然でしたので、私も含め家族全員、食事ものどを通らないほどショックを受けています。加害者に対してどのような損害の賠償を請求できるのですか。
財産的損害と精神的損害の賠償を請求できます。交通事故の加害者に対して請求できる損害には、大きく分けて財産的損害と精神的損害の二つがあります。
財産的損害とは、車の大破による損害や治療費、その他事故が起こらなかったら得られたであろう給料等の収入をいいます。
これに対し精神的損害とは、被害者が精神的に受けた打撃のことをいいます。例えば交通事故で顔に傷を負った場合に、これによる精神的なショックが精神的損害です。
そして犬は法律上は物として扱われますので、犬が事故で死んでしまったことは、車が大破したのと同じように物損事故となります。とすると、「犬」という財産がなくなったことに対する財産的損害についての請求が認められるのみで、慰謝料請求は認められないとも考えられます。
しかし、あなたの可愛がっていた犬のようにペットというものは、毎日一緒に生活しており人と密接な関係にあります。このような関係から考えると、犬は飼い主にとっても精神的に非常に重要なものといえますので、精神的損害についての賠償請求つまり慰謝料の請求は認められるものと考えられます。
裁判所の判断にもペットの死亡による飼い主の精神的な苦痛が慰謝料請求の根拠となると認めたものがあります。
したがって、家族の一員であったというあなたの犬の死亡によりあなた方家族は精神的な苦痛を受けているといえますので、加害者に対する精神的損害の賠償請求つまり慰謝料の請求も認められる余地があります。