Q.
彼女と新車で最近できた郊外のファミリーレストランへ食事にでかけました。
ところが、食事を終えてレストランから出てきたところ、新車のボンネットにくぎでひっかいたような大きな傷がついていました。
レストランの駐車場には係員もいましたが、「駐車場での事故には一切責任を負いません」との張り紙を指差すばかりで、一向にらちがあきません。
レストランの経営者に、損害賠償を請求することはできないのでしょうか。
A.
まず、駐車場の管理責任を追及して損害賠償請求することが考えられます。
商法にも、場屋業者(ホテルや飲食店など)は、客から寄託を受けた物品の滅失・毀損につき、それが不可抗力によったことを証明しなければ損害賠償責任を免れないという条文があります(商法594条1項)。
ただ、寄託は、物を預けてその管理を依頼する契約ですから、ご相談のように、出入り口に係員がいる程度の管理しかしていない駐車場の場合、寄託があったとはいいがたく、損害賠償請求は難しいものと思われます。
つまり、その程度の管理しかされていない駐車場の場合、店側としては、単に車の駐車場所を貸しただけの賃貸借(民法601条)もしくは使用貸借(民法593条)と考えられるのです。
Q.
「駐車場での事故には一切責任を負いません」という張り紙があるからですか。
A.
このような張り紙のあるなしは関係ありません。
駐車場での事故には一切責任を負わないのは、賃貸借・使用貸借契約の内容から当然のことだからです。
したがって、車の傷の修理代等は、直接加害者に請求するしかないことになります。