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医療過誤(1)

Q.

 前から通っていた病院の医師の治療に納得できない点があり、違う病院に出向いたところ、癌がみつかり手遅れだといわれました。

 前の治療の段階でみつけることができたはずだと思うのですが、医療ミスとして損害賠償請求するためには、まず、どうすればよいのでしょうか。

A.

 まず、医療機関に説明を求めることです。

 患者にはこうした説明を求める権利があるのです。

Q.

 説明を求めても、説明に納得がいかなかったり、なかなか説明に応じてもらえなかったりした場合はどうすればよいのでしょう。

A.

 そのような場合には、患者側が当該医療に関する情報を入手して、医療ミスがあったのかどうかを判断する必要があります。

 こうした判断に必要な資料としては、具体的には、カルテのほか、診察券や診断書、入院証明書、死亡診断書などが挙げられます。

Q.

 とは言いましても、カルテなど重要な情報は医療機関側が有していると思うのですが...。

A.

 その通りです。しかも、その開示を求めるのは難しいのが現実です。それどころか、紛争が表面化するのを恐れて、カルテの改ざんが行われる場合もありえます。

 そこで、患者が裁判所に対して、医療ミスがあるのではないかと疑われる程度の証拠を提出して証拠保全の申立を行うのが有効です。

 この手続によって、裁判官や書記官らが医療機関に出向き、カルテの提出を受けて、コピー等をとることにより、改ざんを防いでくれるのです。

Q.

 なるほど。こうした証拠保全の申立は私自身が行ってもよいわけですね。

A.

 ええ。しかし、今お話しましたように、証拠保全の申立の際に、ある程度の証拠を提出する必要がありますから、その段階でも医学の専門的な判断能力がある程度要求されます。

 しかも、将来、訴訟になったような場合には、証拠保全手続が効果的に進められたかどうかが鍵を握ることも多いので、証拠保全の段階から、弁護士に任せたほうが安心といえるでしょう。

Q.

 では、弁護士に頼むとすれば、証拠保全段階でどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

A.

 30万円前後(交通費等の実費は除く)が平均的なところでしょう。

 なお、訴訟になった場合には、法律知識のほか、医療知識も必要になってくるため、一般的な裁判よりも長期にわたる(第1審の判決が出るまで数年かかります)ことを覚悟しておくべきでしょう。

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