住宅というものは、実際に住んでみないと住みごこちなどわからない、というイメージがありませんか。
実際、冷暖房の効率がよいか、外の騒音がうるさいか、ひいては、年老いたときに使いやすいか、などといったことになってくると、素人である買主・注文主が短い期間内に住宅どうしを比較して決めることは難しいでしょう。
「その程度なら、どこのお宅も同じですよ。」「それくらいは普通の方なら気にならないはずなんですが。」などと業者に言われれば、返答に窮するのがオチです。
そこで、住宅の性能を契約する前に比較できるように、明確な性能の表示基準を設定するとともに、客観的に性能を評価できる第三者機関を設置し、住宅の品質の確保を図ろうとするのが、住宅性能表示制度なのです。
具体的には、建物の耐久性(構造耐力)や遮音性、省エネルギー性といった住宅の性能を表示するための共通ルールを定めます。
例えば、構造耐力については、建築基準法の求める構造強度との比較○倍、壁の遮音性については、ランク○といった具合です。
そして、こうした判断は、指定住宅性能評価機関によって行われ、ここから交付された住宅性能評価書を添附して住宅の契約を交わした場合は、こうした性能が契約内容となり、保証されるのです。
後で、こうした性能をめぐってトラブルが発生した場合、裁判外の指定住宅紛争処理機関による円滑、迅速な解決ができるようになっています。
悔いのないマイホームの購入を...
いかがでしたか。
住宅性能評価書というものの重要性がわかりましたよね。
ただ、この「住宅性能表示制度」は業者に義務付けられている制度ではありませんから、住宅性能評価書をもらえるのかどうかはしっかり確認しておく必要があります。
また、実際には短期の講習を受けたアルバイトらが現場の写真を撮り、有資格者に評価してもらうというのが実態だとの指摘もなされていますから、住宅性能評価書さえもらえば安心、といいきれない面もあります。
したがって、注文建築の場合であれば、建築の途中で建築士にチェックしてもらったり、自ら建築現場にまめに足を運んで写真を撮ったりすることが大切であることに変わりありません。
建売住宅を買う場合も、建築士にチェックしてもらうとよいでしょう。
いずれにせよ、大多数の方にとって、マイホームの購入は人生の中でも最も大きな買物。後悔のないように慎重を期したいですね。