Q.
将来、痴呆などによって判断能力が不十分な状態になったときのために、あらかじめ信頼できる人に財産管理などの代理権を付与する契約があると聞きました。どのようにすればよいのでしょうか?
A.
この契約は、「任意後見契約」と呼ばれるものです。自ら選んだ後見人(契約時点では任意後見受任者)と、精神上の障害により判断能力が不十分な状況になった場合の自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部について代理権を付与する委任契約を結び、実際にそのような状況になったときに、その人に自分に代わって法律行為をしてもらいます。
この契約は、
- 後見事務の全部または一部を委託し、その委託に関する事務について代理権を付与すること
- 任意後見監督人が選任された時から効力が発生すること
を内容とする、公証人の作成する公正証書によって締結されなければなりません(任意後見契約に関する法律2条1号、3条)。 任意後見人には自然人だけでなく、社会福祉協議会等の法人も選任することができます。また、身上監護を福祉の専門家、財産管理を法律の専門家というように、複数の任意後見人を選任することも可能です。
任意後見契約が締結されると、公証人の嘱託により東京法務局の後見登記ファイルに登記が行われます。このファイルには、
- 本人の氏名、生年月日・住所・本籍
- 任意後見受任者または任意後見人の氏名・住所
- 任意後見受任者または任意後見人の代理権の範囲、複数存在する場合はその権限行使に関する定め
などが記録されます(後見登記等に関する法律5条)