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受刑者と性同一性障害 2

~性同一性障害の受刑者はどこに収容される?~

■収容される場所

 受刑者の収容施設や収容区域は、戸籍上の性別に従って決められます(刑事収容施設および被収容者等の処遇に関する法律4条1項)。
 ですから、戸籍上の性別変更を済ませている受刑者に対しては、変更後の性別に従って居室を指定して構いません。

 しかし、戸籍上の性別変更を済ませていない者は、原則、単独室に収容されます。
 その場所についても、本人を保護し、職員の職務の正当性を担保するために、なるべく廊下監視カメラの整備されている区域が望ましいとされています。
 場合によっては、監視カメラ付きの部屋にされることもあるようです。

 戸籍上の性別とは異なる区域への収容や処遇に固執する受刑者(たとえば、戸籍上男性なのに女性としての処遇に固執するなど)や、ホルモンや手術などで外形に変更を加えているために集団処遇が困難な受刑者については、本人の希望等を考慮しつつ、昼夜居室処遇にされるのが一般的です。
 ただ、性同一性障害というだけで隔離したり(同76条1項)、「改善更生の意欲を喚起できない」「社会生活適応能力の育成が見込めない」などとみなしたりすることは許されません。

■対応職員

 戸籍上の性別を変更している場合は、一般受刑者と同様の、変更後の性別に合わせた職員が対応することになります。

 一方、受刑者が性同一性障害で、戸籍上の性別を変更していない場合は、対応職員も工夫が必要になります。

  1. 入浴・身体検査等、服を着ない場面
    なるべく他の受刑者との接触を避け、対象受刑者単独で行うようにします。
    また、保安維持に支障が出ない範囲で衝立を設置するなど、個々のケースに応じた、羞恥心に配慮した対応が求められています。

    A) 生来の性は男性で、心の性が女性の受刑者
    外形を変更している者に対しては、できるだけ女子職員を含めて対応しなければなりません。
    対象受刑者が粗暴であるなど、女子職員による対応が不適当な事情があれば、複数の男子職員による対応も認められます。
    対象受刑者が性別適合手術を受けていないときは、原則複数の男子職員で対応しますが、必要に応じて女子職員が混じっても差し支えありません。

    B) 生来の性は女性で、心の性が男性の受刑者
    外形を変更しているか否かを問わず、女子職員が対応します。
    場合によって男子職員が応援することもあります。

  2. 着衣の場面
    外形変更の有無等に関係なく、基本的に特別扱いはしません。
    他の受刑者と同様の対応がなされます。

 生活のすべてを共にする場所ですから、他人に身体を見られる機会も数多くあります。戸籍上の性別を変更していない性同一性障害者にとっては、一般受刑者以上にストレスのかかる環境と言えるでしょう。

credit:expertinfantry via photopin cc

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