これまで外国の同性婚制度を確認してきましたが、見ているうちにこんな疑問は湧きませんでしたか?
「同性婚制度がある国の人と日本人が同性婚をしたい場合、どうなるんだろう」と。
今回は、同性の国際カップルが外国で結婚することができるかという問題と、その事実が日本でどう扱われるのかについて解説します。
■同性婚制度のある国で、その国の人と日本人が同性婚することは可能?
結論から言うと、「外国でならば」同性婚をすることはできます。
同性婚に限らず、日本人と外国人が外国で結婚するときは、本人の戸籍情報に加え、相手の国籍と氏名、性別を記した「婚姻要件具備証明書」が必要になります。
従来の法務省は、「結婚に際して日本国法上何ら法的障害がない」ことの証明として、この証明書を交付していました。
したがって、相手の外国人が本人と同性である場合は、日本国法上の問題がないとはいえないため、証明書が発行されなかったのです。
これがなければ、当然、外国でも結婚することはできません。
しかし、2009年から発行されている新証明書は、その意味合いが変わり、「結婚できる年齢であることや、重婚でないことだけを証明するもの」になりました。
同性婚が日本の法律上どう扱われているかは反映されないため、今では、婚姻の相手が同性であっても証明書が発行されています。
■外国で同性婚をしたカップルは、日本でも夫婦と認められる?
こちらは、おそらく難しいでしょう。
日本で婚姻が成立するか否かは、原則、当事者のそれぞれが本国法の婚姻要件を満たしているかどうかで決まります(法の適用に関する通則法24条1項)。
ですから、相手方が同性婚制度のある国の人ならば、相手方は婚姻資格を備えているといえます。
一方、日本人側についても、日本は同性婚を禁止しているというのが一般見解ではありますが、法律上は、明確に同性婚を禁止する内容の条文は存在しません(異性婚を前提にした規定はあります)。
同性婚は問題が多いですが、絶対にだめかといわれると、それもいささか曖昧なのです。
では、なぜ日本で同性婚を認めさせることができないのでしょうか?
その理由は、法の適用に関する通則法42条にあります。
ここでは、外国法の規定が公序良俗(公の秩序や善良な風俗)に反する場合は、日本で適用しないと定められています。
すなわち、相手方の国で同性婚が認められていようとも、それが日本の公序良俗に違反していれば無効になるということです。
ただし、公序良俗に違反するか否かは最終的に裁判所が判断するため、行政の対応に不満があれば裁判に訴えるという道は残されています。
現在、欧米諸国だけではなく、中国や台湾などアジアにおいても同性婚についての検討が始まっています。
日本でも、そう遠くない将来、同性婚の是非が問われることになるでしょう。