Q.
借用証書に印紙が貼ってあるのをみたことがあります。
借用証書には、印紙を貼らないと効力が認められないのですか?
A.
お金を借りる契約を金銭消費貸借契約(民法587条)といいます。
この契約が成立するためには、金銭の授受とこれを返還する約束がなされればよく、印紙はもちろん、契約書がなくても成立するのです。
ただ、実際には、後で「言った。言わない」といったトラブルが生じることを防ぐため、契約書が作成されるのです。
Q.
では、印紙は何のために貼るのでしょうか。
A.
それは、印紙税法2条で同法所定の文書を作成した場合には、印紙税を納めるように規定されているからです。
つまり、税金をとるためのものなのです。
したがって、印紙が貼ってある契約書のほうが、裁判になった場合に、証拠としてより確実なものと認められるとかいうものではないのです。
Q.
もし、印紙を貼らなかったらどうなるのでしょうか。
A.
印紙を貼らせるのは税金をとるためなのですから、すでにお話したように、契約の効力には全く影響がありません。
ただ、一種の脱税にあたるわけですから、不正行為によって、印紙を貼ることを免れたり、あるいは、免れようとした者には、1年以下の懲役もしくは20万円以下の罰金に処せられます(印紙税法22条1項)。