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賭博による債権の回収

Q.

 花札でXに80万円勝ったのですが、これをXに請求したら「花札での債権なんて無効だから払わなくていい」といって払ってくれません。何とかXに請求できないものでしょうか?

A.

 花札で成立した債権は、公序良俗に反するものとして(民法90条)無効ですので、請求できません。

 民法上「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は無効とす」る(90条)と規定されています。公の秩序又は善良の風俗は、公序良俗と呼ばれておりこれに反するような社会的に妥当性を欠く行為は、無効とされるのです。
 例えば、殺し屋に一定の金銭を積んで、殺害を依頼することは、公序良俗に反し無効とされるのです。

 そして、あなたのように花札で多額のお金を賭けることは、賭博罪刑法185条)として禁止される反社会的な行為ですから、80万円の債権は公序良俗に反し無効となります。
 従って、Xに対して80万円を請求することはできません。

Q.

 Xに対して80万円の請求ができないことは分かりました。ということは、私が以前Aに負けたときに支払った50万円は無効で、Aに請求できるということですよね?

A.

 民法708条不法原因給付物として、Aに請求できません。

 確かにあなたの言う通り、あなたが以前支払ったというAの50万円の債権は公序良俗に反し無効ですから、あなたのAに対する50万円の返還請求も認められるとも思えます。

 しかし、民法708条は不法の原因による給付物は、返還請求できないことを定めています。

 例えば、妾関係を維持するためにマンションを贈与した場合に、このような贈与契約は公序良俗に反し無効なのですが、一旦給付したマンションは返還請求できないことになります。
 あなたの場合も一旦給付した50万円は、不法の原因による給付物として返還請求できないことになります。

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