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小説で読むおもしろい判例


小説で読むおもしろい判例 の記事一覧(3ページ目)

キズで毛羽立った古いソファに腰を下ろした 第三回

第3回 倒れてから14年、親父は枯れ木のようになりながら、かゆを食っては排泄物を垂れ流す日々を送った。その間に私は専門学校を卒業した。設計会社に転職活動をすることも考えたが、同じ技術があっても学歴が... 続きを読む


キズで毛羽立った古いソファに腰を下ろした 第二回

第2回  部屋に入り、毛羽立った古いソファに腰を下ろした。  一畳半ほどの部屋にあるのは、テレビ、DVD・ビデオの再生機の他に、このソファだけ。窓はない。安物の壁紙には、饐えたような臭いが染み付いて... 続きを読む


キズで毛羽立った古いソファに腰を下ろした 第一回

第1回 条件付故意とは?  男が刺されて死亡した。女は、血のついたナイフを手にしたまま、呆然として男の傍に立ち尽くしている。   あなたが裁判員だとしたら、女を何罪にするだろうか?  殺人罪... 続きを読む


何もしないことが殺人罪になる!? - 不作為の罪 第六回

第6回 判決 検察官の主張  被告人・新興宗教団体「水光の会」代表・自称教祖は、2007年7月○日、被害者の長男伸治被告(42歳)=保護責任者遺棄致死罪で分離公判中=と共謀して、金銭欲と自己保身から... 続きを読む


何もしないことが殺人罪になる!? - 不作為の罪 第五回

第5回 治療  喜八は救急車で市民病院に運ばれた。  長年喜八を診てきた担当医は、喜八が酒を飲んでいたことを知って憤慨した。 「どうして飲ませたんですか」  伸治は一言もなかった。 「最近、薬を取り... 続きを読む


何もしないことが殺人罪になる!? - 不作為の罪 第四回

第4回 契約と入信  喜八の経営する山崎工務店と、新興宗教「水光の会」は、会の・・市支部所属の宗教施設の建設工事請負契約を結んだ。  支部長である小男の言葉に反して、工事はかなり大規模なものになりそ... 続きを読む


何もしないことが殺人罪になる!? - 不作為の罪 第三回

第3回 訪問者  喜八が新興宗教に入信したのは、その頃のことである。きっかけは、ある宗教団体が、布教のための施設を建設したいと店を訪れたことだった。 「山崎喜八さんは、こちらでしょうか。」  喜八は... 続きを読む


何もしないことが殺人罪になる!? - 不作為の罪 第二回

第2回 山崎工務店  被害者は、山崎 喜八(当時73歳)、職業 工務店経営。半年前、新興宗教「水光の会」に入信した者である。  喜八は、昭和4年、・・県・・市に生まれた。生家は小作農で、戦後は土地を... 続きを読む


何もしないことが殺人罪になる!? - 不作為の罪 第一回

不作為犯とは ― 検事とA容疑者の会話 A:性別 男、年齢 42歳、職業 会社員。 Aは、2008年9月30日深夜1時40分ころ、自家用車で国道○号線を走行中、○市○町2丁目の信号機つきの横断歩道に... 続きを読む


父と娘の物語 ― ある親殺し 第五回

物語の終わり 検察官の主張(1)―起訴状(要旨) 公訴事実  被告人は、昭和・・年・月・日、U県0市・・豊国アパート201号室において、中村 悌一郎(当時45歳)を殺害しようと企て、所携のガラス片(長... 続きを読む


父と娘の物語 ― ある親殺し 第四回

 そのようなある日、高井さんという人が来られました。高井さんは内職の仕事を下さる和装会社の配達係で、月に一度、紙縒りの材料を届けてくださるのです。元は腕のよい仕立職人だったということですが、戦争で指... 続きを読む


父と娘の物語 ― ある親殺し 第三回

 父にそれを告げた日のことは、今でも忘れられません。恐ろしさに身体が震えるようでした。父が私の妊娠を喜ぶはずがなかったし、赤ちゃんをどうするつもりなのかも心配でした。  父はしばらく黙っていましたが... 続きを読む


父と娘の物語 ― ある親殺し 第二回

2 娘・中村 結衣の供述  小さいときの記憶は、かすかに残っています。古いアパートのような建物の2階にある一室です。4畳半くらいの居間に、おまけのように狭い台所がついていました。そこが私の家だったと... 続きを読む


父と娘の物語 ― ある親殺し 第一回

父と娘の物語 ― ある親殺し 第一回 1 ある夫婦の会話 夫:37歳、会社員。某私立大法学部卒。 妻:35歳、会計事務所職員。 妻   (新聞を読みながら)見て見て、またヒッキー(*注1)がお父さ... 続きを読む


奇妙な依頼 ― 殺人罪と嘱託殺人罪 第七回

しかし、四郎はついに断ることができなかった。ホテルの一室で、「Kの頼みどおり」、その下腹を突き刺し、ナイフを上方に向かってかき上げたのである。Kは腹部刺創傷害を負い、出血死した。 検察官は、被害者は「... 続きを読む


奇妙な依頼 ― 殺人罪と嘱託殺人罪 第六回

 Kは、初めは遠慮がちに、そのうち当然のように、料理店からホテルに車を回すようになった。四郎は、あの夜のKの行為を決して許したわけではないと思っている。しかし、Kとの時間は、次第に四郎の生活になくては... 続きを読む


奇妙な依頼 ― 殺人罪と嘱託殺人罪 第五回

その日以来、Kは、四郎を彼方此方伴うようになった。いずれもKの行きつけの高級レストラン、料亭、会員制クラブなどである。普通のサラリーマンには敷居さえ跨げない高級店だった。そして、どの店でも、Kは上客と... 続きを読む


奇妙な依頼 ― 殺人罪と嘱託殺人罪 第四回

 夏が終わりかけたある日、オーナーがカウンターに四郎を呼んだ。カウンターでは、50代半ばの裕福そうな男が、経営者を相手にアワビの刺身で地ビールを飲んでいた。  「山岸君。こちらはKさん」  「俺。覚え... 続きを読む


奇妙な依頼 ― 殺人罪と嘱託殺人罪 第三回

 オーナーは、四郎の「濃くない」容姿を気に入り、ホール係として採用した。  ホールの仕事は、メニューと客席番号を覚えることから始まる。  メニューを覚えるのはオーダーを間違いなく通し、また客の質問に答... 続きを読む


奇妙な依頼 ― 殺人罪と嘱託殺人罪 第二回

 四郎がKと知り合ったのは、2年ほど前、アルバイト先のオーナーに紹介されたからだ。  その店は、新進気鋭のインテリア・デザイナーが内装を手がけたということもあって、「洒落た隠れ家風の居酒屋」と、マス... 続きを読む


奇妙な依頼 ― 殺人罪と嘱託殺人罪 第一回

奇妙な依頼 ― 殺人罪と嘱託殺人罪  第一回  皆さんは、外形的には犯罪に当たる行為が、被害者の依頼や承諾によって犯罪でなくなったり、あるいは刑が軽くなったりすることをご存知だろうか。  例えば、医師... 続きを読む

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