虐待の果てに ― ある幼児の死
虐待の果てに ― ある幼児の死に関する記事一覧
虐待の果てに ― ある幼児の死 第十一回
第11回 判決 (参考・さいたま地裁 平成18年5月10日判決) 主文 被告人を懲役9年に処する。 未決勾留日数中320日をその刑に算入する。 争点に対する判断(一部抜粋) ・・・そして、以上認定... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第十回
第10回 検察官及び弁護人の主張 (参考・さいたま地裁 平成18年5月10日判決) 1 検察官の主張 公訴事実(抜粋) 被告人・石原 武は、大阪府堺市A町B番地所在のCマンション206号室の被告人... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第九回
同居して初めての正月を迎えた。 暮れにちょっとした不動産の取引が成功して、武は30万円ほどの臨時収入を得た。二人はその金でパチンコをし、映画を見、帰りはレストランで食事をとって、楽しく遊び歩いた。... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第八回
12月下旬のことである。 夕方から冷え込んできたため、倫子は気まぐれに、潰した米飯を白湯に溶かして与えようと考えた。最後に食事を与えてから、すでに丸1日たっていた。 「愛奈、ご飯やで」 返事は... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第七回
武には相変わらず収入がなかった。しかし、倫子の給料は取り上げて管理した。勤め先の給料日を調べていて、 「ワシが管理しといたるわ。専業主夫っちゅうやつや」 などと言い、返そうとしない。倫子は武に金の使... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第六回
第6回 武は自分を疎ましく思っている。いや、疎ましいのは自分ではなく、自分の娘なのだ。娘の愛奈に構えば構うほど、武は不機嫌になる・・・。 しかし倫子は、武と別れてマンションを出る気にはな... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第五回
第5回 倫子は武の、娘・愛奈に対する態度にも失望していた。 愛奈は2歳8ヶ月で、少し小柄だったが、健康に生育していた。性格は素直で明るく、挨拶などもきちんとできた。母親がいないことに慣れ... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第四回
第4回 同居を始めてみると、武が店で言っていたことは、大半が作り話であった。 部屋は確かにU駅近くのマンションだったが、武の所有ではなかった。貸主が友人なので、賃料を延滞しても無理が利く... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第三回
第3回 倫子は当初、両親に娘の世話を頼んで、生活を立て直すつもりであった。 しかし両親はすでに年老いて、実家は7歳上の兄が仕切るようになっていた。兄は迷惑顔を隠そうとせず、特に嫁は何かに... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第二回
第2回 倫子が武と知り合ったのは、平成15年11月ころである。 武は倫子がアルバイトをしているスナックの客であった。月に1度ほどしか来なかったが、来ればいつも派手な飲み方をした。賑やかにカラオケ... 続きを読む
虐待の果てに ― ある幼児の死 第一回
第1回 倫子はキッチンの小さな窓から外を見て、日が翳ってきたことに気づいた。 その日は11月初めとも思えない暖かな日和だったが、秋の日差しは瞬く間に薄れ、肩の辺りがうそ寒い。倫子はカーディガン... 続きを読む
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