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アスペルガー障害


アスペルガー障害に関する記事一覧

アスペルガー障害 第十二回

 検察側は、「殺人行為時に心神耗弱状態にあった」という鑑定人の意見もさることながら、「死体損壊時に責任能力がなかった」とする意見には、動揺を隠せなかった。   殺害して死体を遺棄・損壊した場合... 続きを読む


アスペルガー障害 第十一回

 では、死体損壊時の行為はどのように説明すべきなのだろうか。   被告人は、死体を―異様な繊細さで―左右対称に、各々10部に解体し、さらに、流水で、各片に付着した血液や汚物を丁寧に洗い落として... 続きを読む


アスペルガー障害 第十回

鑑定人の判断(1)  しかし、被告人の犯行時の行動には、ひとつ奇異な点があった。   殺害行為時は、異常に攻撃的である。   被害者を部屋中追い回し、階段を駆け上がりながら、包丁を背中に複数回... 続きを読む


アスペルガー障害 第九回

 山口紘一は、弥作の長女・竜子に対する殺人と死体損壊の罪で起訴された。検察官は懲役20年を求刑。   マスコミ各社は、高級料亭の若主人が妻である女将を惨殺した猟奇事件として、一斉に報道した。 ... 続きを読む


アスペルガー障害 第八回

 正月を二日前に控えたこの日、板場はおせちの仕込みで一日中大忙しだった。   夜半になって一段落ついた紘一は、自室に戻ると、いつもの習慣で包丁を研ぎだした。   砥石を湿らせ、その日使った包丁... 続きを読む


アスペルガー障害 第七回

「山口さん、ご主人さんが呼んではりますえ」  紘一はある日、大主人の居室に呼ばれた。この部屋は、本店から大主人が出張るときだけ使用される、特別の部屋だ。   その頃になると料亭・花月は、割烹料理では第... 続きを読む


アスペルガー障害 第六回

 紘一は料亭・花月京都店の板前見習いになった。   板前見習いの勤労条件は過酷である。給金は小遣い程度。勤務時間は、言わば24時間。早朝の「かど掃き」(店の表を掃除すること)から、夜風呂を落と... 続きを読む


アスペルガー障害 第五回

 それから10年がたった。   八重が働く料亭・花月は、心斎橋に戻って勢いを得、評判高い人気店に成長した。   経済が本格的に復興しはじめたことも幸いした。起業や相場で大きく儲ける者達が現れて... 続きを読む


アスペルガー障害 第四回

 一ヵ月後、八重と紘一は帰国した。   あの晩、八重は伸太郎から、紘一を連れて先に帰国するよう切り出された。   八重は即座に反対した。何よりも、伸太郎と離れるのが嫌だったのだ。   夫は... 続きを読む


アスペルガー障害 第三回

 少年は忍び込む冷気で目を覚ました。暗い天井から下がる電球が薄白い。鈍い光は、そのまま戸外の寒さを映しているようだ。   家中は静かだった。女中たちも起き出さない。まだ夜明け前なのである。  ... 続きを読む


アスペルガー障害 第二回

 「ああ。― 紘一の具合はどうだ」    紘一は伸太郎と八重の息子で、4年前平壌で生まれた。この寒さには慣れているはずだが、生まれつき虚弱な体質で、よく体調を崩した。   「昨日よりは好いよう... 続きを読む


アスペルガー障害 第一回

第1回  年明けの平壌は本格的な厳寒期に入る。   大陸から冷気が流れ込み、山河は白一色に凍りつく。市内を流れるテドン川さえ、流れながら凍っていく。取入れを終えた畑も、水分が冷えて氷の板と化す... 続きを読む

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