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民法について(3)

未成年者の養子縁組について

 養子縁組とは、皆さんご存知と思いますが、自然の結びつきの親子関係とは別に、法律の結びつきで親子関係になることをいいます。法律では、養子には普通養子と特別養子の2種類があります。

 特別養子縁組とは、昭和62年に導入された制度で、実の親子の関係が終了します(民法817条の2)。この特別養子縁組には厳しい条件と慎重な判断が要求されており、実父母がその子を育てることに特に不適当な事情がある場合にのみ、家庭裁判所の判断を経て認められることになっています。

 普通養子縁組は、養親となる人と養子となる人との間で、養子縁組をする意思が合致して、その縁組を届け出ることによって成立します(民法799条739条)。
 養子縁組は、双方の意思が合うことが必要ですが、小さな子どもに養子になることが本当にいいか判断させることは、非常に無理があります。
 そこで、法律は、未成年者が養子になる場合に、未成年者であるか、さらに15歳未満であるか、で区別をして保護の規定を置いています。

 未成年者の養子縁組には原則として家庭裁判所の許可が必要となっています(法798条)。さらに、15歳未満の未成年者については、例えば親のような法定代理人が未成年者に代わって、養子縁組の承諾をすることが出来るようになっています(これを「代諾(だいだく)」といいます)(法797条)。
 このように、未成年者の養子縁組には、未成年者の権利が保護されるように定められています。

親権について

 親権とは、民法が父母に与えた子供を育てる権利であり子供を育てる義務のことをいいます。未成年者のうちは、親権に服すことになります(法818条)。

 親権は、あくまでも「子供の利益のために」存在する権利です。親のための権利ではありません。
 親権には身上監護権(住むところを指定すること、職業を許可すること、教育すること、懲戒すること等)と財産管理権があります。
 親権は前にも述べたとおり子供のためのものですので、親が親権の行使として、懲戒を理由に子供に対して暴力を振るったり、暴言をはいたりして、子供を害するような場合には、「親権喪失」や「親権停止」といった制度で、親から親権を取り上げる場合もあります。

 だいぶ前に女子中学生の妊娠を取り上げたドラマが話題を呼びましたが、中学生で子供を出産する場合には、親権者は誰になるのでしょうか?
 まず、未婚で認知されていない子については、母親のみが親権者となります。次に、親権者が未成年である場合には、未成年者の親が代わって親権を行使すると定めています(民法833条)が、前回取り上げたように、未成年でも婚姻をしていれば、成年擬制により成年として扱われます。

 以上をまとめると、

(1)親が未成年、かつ、婚姻していない(婚姻できない)場合には、未成年者の親、つまり、生まれてきた子供からみると祖父母が親権を行使することになります。

一方、

(2)親が未成年でも、婚姻している場合(婚姻後に離婚した場合も含む)には、自ら生まれてきた子に対して親権を行使することができます。

 中学生で子供を出産する場合には、婚姻することができませんから、(1)の場合にあたり、未成年者の親が親権を行使することになります。

 3回にわたって、民法の中の子供に関する条文の中で代表的なものを取り上げてご説明させていただきました。次回は、子供の虐待に関する法律について取り上げます。

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