子供の成長に伴って、保育所、幼稚園、小中学校、高校、大学等に通うことになりますが、そこにはどのような法律が絡んでくるのでしょうか?
今回から、子供の教育をめぐる法律について取り上げたいと思います。
教育について定めているもっとも基本的な法律は憲法です。憲法は26条において、すべての国民はその保護する子女に教育を受けさせる義務があること、義務教育は無償とすること、について定めています。
具体的なことについては、それぞれの法律で定めることになっていて、その法律が「教育基本法」と「学校教育法」です。
教育基本法
教育に関する根本的な法律として、「教育基本法」という法律があります。
昭和22年に制定されたもので、教育に関する法令の解釈基準となる性格を持つことから、「教育憲法」と呼ばれることもあります。
教育を取り巻く環境が大きく変わり、新しい時代の教育の基本理念を示す必要が高まってきた背景を受けて、平成18年に改正が行われました。
教育基本法においては、教育の目的と理念(第1章)が規定され、さらに、家庭教育、私立学校、社会教育など、あらゆる教育に関する条項が定められています。
国民が等しく能力に応じた教育を受けられる機会を与えられなければならないこと、障害のある人も十分な教育を受けられるように支援を講じなければならないことといった「教育の機会均等」(法4条)や、憲法のいう「義務教育の無償」を受けた義務教育の授業料の無償(法5条4項)などもこの法律に定められています。
このように教育にとって非常に重要な内容がつまった法律といえます。
学校教育法
学校教育法は、教育制度の根幹を定める法律で、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学等について規定しています。
義務教育が9年であること、小学校が6年、中学校が3年、高等学校が原則として3年、大学が4年(医学、歯学、薬学、獣医学は6年)であることは、この法律によって決められています(法32条等)。
その他、校長や教員になることができない要件(法9条。校長や教員の資格に関する事項は、教育職員免許法という別の法律にて詳細に定められています。)や、体罰の禁止(法11条)、さらには、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校における教育の目標規定など(法21条)について細かい規定を設けています。