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青少年の薬物問題

 覚せい剤を所持していたとして、警視庁は2月2日、西武や巨人で活躍した元プロ野球選手清原和博容疑者を覚せい剤取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕しました。
 2014年には「CHAGE and ASKA」のASKAが覚せい剤取締法違反などについて逮捕され、その後の裁判で覚せい剤取締法違反など懲役3年、執行猶予4年が言い渡され、確定しました。
 芸能人の覚せい剤に関する報道が続いていますが、覚せい剤を含めた薬物については、青少年の乱用も問題となっています。
 警察庁の調査によれば、覚せい剤事犯で検挙した犯罪少年のうち、中高生の割合は、2013年は13.5%(中学生45人、高校生83人)、2014年は14.6%(中学生44人、高校生65人)、と高水準で推移しており、予断を許さない状況です。

 薬物乱用がなぜ良くないのかについては、人間が生活していく上で最も大切な「脳」に対して深刻なダメージを与えるからです。脳にかぎらず、神経や内蔵にも悪影響を与えます。
 個人にダメージを与えるのみならず、薬物乱用は、乱用する薬物を手に入れるために、窃盗や強盗、売春、さらには殺人などの犯罪を誘発につながる事が多く、社会に対してもダメージを与えます。

 そのため薬物乱用問題に対しては、いくつもの法が制定されています。
 「麻薬及び向精神薬取締法」「大麻取締法」「あへん法」「覚せい剤取締法」、これらに加えて「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」を加えたものが「薬物5法」と呼ばれています。

 覚せい剤の所持は、非営利犯は10年以下の懲役、使用についても非営利犯は10年以下の懲役と定められています。初犯であれば執行猶予が付く場合も多いようです。
 過去に有名俳優が摂取し、入院騒動を起こしたマジックマッシュルームについては、「麻薬原料植物」として麻薬及び向精神薬取締法で規制されており、麻薬と同様に所持等が禁止されています。
 所持は非営利犯の場合7年以下の懲役、使用も非営利犯の場合は7年以下の懲役とされており、覚せい剤に比べると刑罰がやや軽くなっています。
 また、シンナーについては薬物5法ではなく、毒物及び劇物取締法で規制されています。

 近年問題視されている危険ドラッグ(違法ドラッグ・脱法ドラッグ)については薬事法により規制が行われています。
 危険ドラッグへの対応はスピード勝負となるため、麻薬指定よりも短期間で行うことができる指定薬物制度を新たに設け、2014年からは指定薬物の所持、使用なども、懲役3年以下または、300万円以下の罰金が科されることになりました。

 少年が逮捕された場合は、逮捕、勾留、家庭裁判所送致、調査、審判、処分(保護処分、検察官送致、都道府県知事又は児童相談所長送致、不処分)という流れになります。
 勾留については、少年の更生にとって重大な不利益を及ぼすおそれがありますので、「やむを得ない」場合でなければ勾留をすることができないと定められており、少年法上勾留は例外的な取り扱いとされています(少年法43条等)。
 しかし、薬物乱用事件の場合は、犯罪の性質上、逮捕からそのまま勾留が行われることが多いようです。

 インターネットの普及などによりさまざまな情報が簡単に手に入るようになり、判断力が十分に育っていない小学生にも薬物に関する情報も降り注いでいます。
 国は、小学生の子供に対しても、薬物乱用防止教育が必要と考えて、さまざまなイベントを実施しています。

 また、家庭においても子供の行動に気を配り、帰宅が遅くなった、友人関係が全くわからない、理由のわからないお金を欲しがるようになった、食事を家族と一緒に食べなくなった、嘘が多くなった、電話やEメール・LINEなどに知らない人から連絡があったりする、といった薬物に接触している場合にとりがちな行動がないかについて注意するように呼びかけています。

 お子様の薬物使用を未然に防止できる、早期で止められるのは、身近にいる家族です。
 勉強をしても眠くならない薬、と称して真面目な子に薬物が渡されるケースも散見されますので、うちの子は絶対大丈夫、と過信せず、是非気をつけていただければと思います。

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