付き合っていた彼女に「あなたの子供を妊娠した」と言われたのをきっかけに、結婚し、子供が生まれたのですが、子供の血液型は私と彼女からは生まれてこないものでした。どうやら、その当時、彼女には私の他に付き合っていた男性がいたようです。
生まれた子との親子の関係を否定したいのですが、可能でしょうか?
このようなケースで採りうる手段としては、
- 嫡出否認の訴え(民法775条)
または
- 親子関係不存在確認の訴え(戸籍法113条)
があります。
どちらの手段が採れるかは、婚姻の成立から子の出生までの期間によって異なります。
子が婚姻の成立から200日後以降に生まれた場合には、その子は婚姻中に懐胎したものと推定され(民法772条2項)、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されます(同条1項)。このように嫡出の推定を受ける子の場合、これを否定するためには嫡出否認の訴えによる必要があります。
嫡出否認の訴えは、夫のみが提起可能で(民法774条)、夫が子の出生を知った時から1年以内にこれを提起しなければなりません(民法777条)。1年を経過してしまった場合には、その子の嫡出を否定することができなくなります。
また、嫡出否認の訴えについては、調停前置主義がとられるため(家事審判法17条)、まず家庭裁判所で調停を申し立てることになります。
子が婚姻の成立から200日以内に生まれた場合には、上記の嫡出推定が生じないため、子供や父母だけでなく、親子関係について直接身分上利害関係を有する第三者(相続人など)も親子の関係が存在しないことを確認する訴え(親子関係不存在確認の訴え)を提起することができます。
親子関係不存在確認の訴えは、嫡出否認の訴えの訴えと異なり、いつでも提起可能です。調停前置主義がとられる点は、嫡出否認の訴えと同様です。
どちらの手段を採る場合でも、親子の関係がないことを明らかにするために、鑑定を行う場合もあります。この場合、申立人がこの鑑定に要する費用を負担することになります。
私と生まれてきた子の間の親子の関係が否定された場合には、扶養しなくてもよいのでしょうか。
親子の関係が否定された場合、親子関係に基づく扶養義務(民法877条1項)はなくなりますから、法律上は扶養しなくてよいことになります。