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「通勤上のけが」も労災から補償

 関西にはめずらしく雪の降る寒い朝でした。所々氷が張っていて足元が悪く、なんだかいやな予感がするので、いつもより少しはやめに事務所に向かっていました。

 事務所に到着してまもなく電話のベルが鳴り、「ああやっぱり・・・」と予感的中です。

 「従業員が凍った道ですべって転んだんです!」

 「けがの具合はどうですか?」

 「骨折しました。しばらく出勤できません。」

 「では、通勤災害として、手続きしますね。状況をもう少し詳しくお聞かせください。」

 しばらくするとまた、電話のベルです。

 「始業前に会社の門を開けていたら、足を挟まれて親指を骨折しました。」

 重なる時は重なるものです。毎年雪の積もった早朝には、私共は覚悟しています。

 労災保険は、仕事中のけがや病気だけでなく、通勤中のけがや病気も補償してくれます。どんな補償でしょうか?

 けがや病気の治療費と働けない間の所得補償です。治療の甲斐なく障害が残ってしまっても、障害の程度によって補償される給付(一時金か年金)もあります。そして労災は、会社を退職しても、要件をみたしている限り関係なく補償されます。

 ところでこの手続き、すんなり労働基準監督署は認めてくれるでしょうか?手続き書類の中に、事故の状況を絵に描き、説明文をつける箇所があります。この「絵」が苦手な私は、いつもけがの部分に「痛い痛いマーク」をつけたりします。それでも後者の「会社の門を開ける時に起きた事故」では、やりとりがありました。通勤災害と業務災害(仕事中の災害)の区別は、微妙なところで判断される時があります。

 通常「通勤災害」は、家の「門」から会社の「門」までといわれております。監督署が異常にこだわったところは、「門を動かしていた位置」だったのです。始業前の事故なので、門の外側から押していたなら通勤災害、内側から動かしていたなら「業務災害」だと・・・。

 その後私は、絵と文章を一致させる技をさらに磨くことになりました。

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