離婚協議で話し合いが決着をみない場合、家庭裁判所での離婚調停を申し立てることができます。
離婚調停の詳しい制度内容や調停調書の効力については、「法、納得!どっとこむ」ホームページを参照いただくとして、ここでは離婚調停にのぞむ際の、基本的なスタンス(気持ちのもちよう)と調停員に自分の話をよくわかってもらうためのテクニック的なことについて思うところをお話したいと思います。
1.場所に慣れる 家庭裁判所はコワくない!
普通に生活していますと、なかなか「裁判所」というお役所とは縁がありませんので、家庭「裁判所」という名前だけ聞いて、不安に思われる方もおられると思います。
しかし、家庭裁判所は家庭内の紛争(あるいは少年事件)は、一般の訴訟事件と異なった性格をもつことを考慮して、法的基準だけでなく、利害関係人間の人間関係の調整を重視するという考え方に基づいて設置されているところです。ある意味では「非常に身近な裁判所」と言うことができます。不安に思われる方は、一度最寄の家庭裁判所に足を運んでみてください。実際に調停が行われる部屋に入室することはできませんが、雰囲気は感じられると思います。また、裁判所には大抵食堂や喫茶スペースがあります。コーヒーの一杯でも飲みながら、周りを観察してみてください。ほら、みんなあなたと同じ普通の人ばかりです。
また家庭裁判所には家事相談室が設置されていますので、調停・審判とは何か、制度や流れについて教えてもらえます。
とはいえ、ここではあなたに有利になるようなアドバイスを受けることは難しいでしょう。あくまで一般的なアドバイスにとどまります。個々の具体的な相談を受けたい場合は、やはり法律専門職に相談されることをお奨めします。
どこに相談に行くにしても、事前に家族関係や子どもの有無、主要な財産、経緯などをメモ程度で結構ですので、まとめておくようにしておいて下さい。そうすれば、相談相手もあなたの話を要領良く聞くことができるでしょう。
調停を申し立てるための用紙も家庭裁判所の事務局に備え付けてあります。記入方法や相手方の戸籍謄本、住民票、不動産登記簿謄本など必要書類についても教えてもらうことができます。
2.主張は書面で表す
調停の申立をした後、1回目の調停の日が来るまでに、調停の場であなたがする主張に関して、資料となる書類を作成することをお奨めします。
これは調停員にうまく伝えるためでもあり、自分のおかれた状況、頭の中を整理整頓するためでもあります。口頭だけでの説明ですと、肝心の言いたかったことが言えなかったり調停員と会話する中で話の流れが変わって行き、言い出しにくくなったりすることもあるからです。上申書、陳述資料、説明資料等タイトルは何でも良いですが、家族の関係図と状況、離婚に至る経緯、離婚の原因となった原因、あなたの求めるもの(財産分与、慰謝料額、養育費の額)などをまとめてみましょう。
離婚調停は、あなたにとっては非日常的なことでも、調停員にとっては毎日の仕事(厳密には毎日ではありませんが)。あなたにとってどれだけつらい事実があったかということも、残酷な言い方ですが言ってみれば他人事です。あなたの説明からしかわからないのです。離婚に至る経緯を話す内に、人間ですから感情的になってしまうこともあります。それがいけないということではありませんが、肝心のことが抜けてしまっては意味がありませんので、泣きを入れつつ、押さえるところはきっちりと押さえましょう。
そして、この書類の作成は、調停員に対してあなたがいかにまじめで熱心に調停員に取り組んでいるかを示すチャンスでもあるわけです。
出来上がった書類は、できれば当日までに家庭裁判所に送付するのが望ましいですが、当日持参して目を通してもらってもかまいません。(つづく)