では今回は、ドキドキと冷や汗の経験をお話しましょう。
前回ご紹介したように、風俗営業許可には立会い検査というものがあります。警察の人がお店を実際に検査するのですが、最も緊張するひとときです。大勢の人の目の前で、自信のないテストの採点をされるような感覚が近いでしょうか。
ある日の立会い検査は午前10時30分からでした。申請者の人はもちろん居なくてはなりませんので、午前10時15分にはお店に来るようにお願いしていましたが見当たりません。幸いお店のカギは開いていたので1人でお店に入りました。10時30分に近づいても申請者は現われません。携帯電話もつながりません。「ちょっとどないしよ...」とひとりであせっていると、ついに警察の方がやって来てしまいました。しかも3人も。「なんでおらんのや。」「いや、まだちょっと遅れているようで...」携帯電話を何度も掛けてみて、やっと繋がりました。
「い、い、今どこに居るんですか?」
「...遠い所にいるんですー」
「と、とにかく早く来てください」
「もうちょっとかかりますー」
「とにかく早く...」
ヘンな汗が出てきました。
その日は県警のえらい人も来られるとのことで、その人が遅れていたので、最初はまだなごやかな雰囲気もあったのですが、そのえらい人が来られた後は、次第に目に見えて恐ろしい雰囲気になっていきました。皆さん手持ち無沙汰なので、普段なら検査しない所までこと細かくチェックして、店が汚いとか、これで開店できるのかとか、検査とは直接関係ないことまで言い始めました。私も居場所がないものでちょっと片付けの手伝いなど、と動いたところ、「あんたはそんなことせんでええ!」と一喝されました。さすがに警察の人は迫力があります。
結局、申請者が来たのは11時30分を過ぎていました。恐ろしいことに、立会い検査のやり直しという羽目になりました。もちろん許可が遅れたのは言うまでもありません。
このような、また、ここでご紹介したくてもできないような色々な体験をし、スリルのある日々を送っております。