厚生労働省は、賃金不払残業(サービス残業)の解消を一層推進するため、平成15年5月下旬に、「賃金不払残業総合対策要綱」を取りまとめるとともに、「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(通称:サービス残業解消対策指針)を労働局に通達しています。
要綱では、労使に対して主体的な取り組みを促すとともに、厚生労働省でも対応をさらに強化し、指針の策定に加え、「賃金不払残業重点監督月間」などを設け「とくに法違反が認められ重大悪質な賃金不払残業については、司法処分を含め厳正に対処する」としています。
「サービス残業解消対策指針」では、労使の主体的な取組を促し、労使が協力して取り組むべき事項をまとめています。
労使が取り組むべき事項
1.労働時間適正把握基準の遵守
2.職場風土の改革
- 経営トップ自らによる決意表明や社内巡視などによる実態の把握
- 労使合意による賃金不払残業撲滅の宣言
- 企業内または労働組合内での教育
3.適正な労働時間管理のためのシステム整備
- 労働時間適正把握基準に従い出退勤システムの確立
- 賃金不払残業を前提に業務遂行されているようなケースは、業務体制や業務指示のあり方にまで踏み込んだ見直しを行うこと
- 賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施
4.責任体制の明確化とチェック体制の整備
- 各事業場ごとに労働時間管理の責任者を明確にする
- 相談窓口を設置するなどにより、賃金不払残業の実態を積極的に把握する体制を確立する
- 労働組合においても、相談窓口の設置等を行い実態把握をする
サービス残業については訴訟や是正勧告も増えており、景気低迷のなか、企業にとっては厳しい問題ですが、法令遵守の上での企業発展を求められています。