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今日も社会保険労務士の一日が終わった (2)

 「ふー、今日は夜風が心地よい日だ」
 社労士もたまに酒を飲む。酒を飲む場所は、相手によって異なる。
 同業者及び友人とは、白木屋、笑笑などの居酒屋で腹一杯になるまで飲んでいる。高級な店に行くのは、税理士先生やロータリークラブの先輩方、おしゃれな店に行くのは女の子となのだ。

 前回、解雇をしようとした席でセクハラにあったとする女性従業員の問題で、今日はセクハラ疑惑をかけられた専務に会って話を聞いてみた。

 どうも海の見えるレストランに行き食事をして、風も気持ちよかったので、肩に手をまわしたまでは事実であるがキスはしていないと言う。

 悲しい習性で話を半分くらいしか信じることが出来ないが、ここはお客様慶応君を信じて話を進めないといけないであろう。

 さて、この件で管理部長に相談して女性従業員に会おうとしたが従業員さんは、先日以来休暇をとっているらしい。理由は、体調不良との事なので出社するのを待つことにし会社を後にした。

 もう1軒訪問するのは、人事制度を変更した顧問先だ。この会社は業績が思わしくないらしく、毎月の給与を売上に応じて支払ういわゆる歩合給に変更した。

 この給与の変更の設計から従業員説明会まで行ったものだから、従業員さんの社労士を見る眼は厳しい。そういえば同業者が先日階段から突き落とされる事件があったばかりだ。

 そう思いながら会社の中を歩いていると営業部長がやってきた。
 「こんな制度に変えやがって、俺は良いけど他の従業員はみんな不満に思っている。」
 心の中で、あなたも不満なのね?とつぶやいた。また、あまり近づかないでねとも思いながら、社長室に入った。

 社長は上機嫌で今度の人事制度の変更で当社の体質は変わると言うが、従業員が不満に思っていることも若干分かっているようだ。
 この変更が一時的なもので、人事制度そのものの抜本的な変更が必要なことも会社に告げた。しかし、いつからこれを行なうかは時期をみる必要がありそうだ。

 今日も、人に関するトラブルの多くは労使お互いに相手の立場に立つ事を忘れてしまっていることが大きな原因であると、社労士は思う。

 梅田で飲んでいたが遅くなり、23時の急行に乗り阪急電車池田の駅から自宅までの最終バスになんとか間に合った。(続く)

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