基本編
住宅ローンは、住宅金融公庫や年金融資といった公的融資が利用できるならまずそれを優先し、足りない部分を民間住宅ローンで補うのが、基本的な考え方になります。金利の種類は、金利が低いときには固定金利、高金利時代には変動金利を利用するのが原則となります。変動金利型ローンは年2回金利を見直しますが、返済額そのものは5年単位で変更されます。大幅な金利上昇の結果、未払い利息が発生し、ローン残高が増える事態も起こり得ます。今は低金利だけに、長期の変動金利型ローンほど、金利上昇リスクが大きくなります。
住宅ローンの返済では、通常返済(毎月払い)とボーナス返済があります。このうち、ボーナス払いは6ヶ月ごとに年2回、通常返済にプラスして返済するものです。ボーナスは会社の業績によって変わりやすく、最近では年棒制を導入する企業なども増えています。このため、ボーナスをあてにした資金計画は、危険が大きいと言わざるを得ません。理想を言えば、通常返済のみで住宅ローンを組み、ボーナスは貯蓄にまわし、ある程度たまったら、繰上返済をしたほうが合理的な返済ができます。
繰上返済
「繰上返済」とは元金の一部を返済してしまうため、その元金にかかるはずだった利息がカットされることです。「繰上返済」によって軽減される利息は、早いうちに繰上返済するほど多くなります。元利均等返済の場合、返済当初は返済額のうち利息分の占める割合が多く、元金の返済の充当される金額がわずかだからです。
「繰上返済」には、毎回の返済額は同じままで返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間は変えずに毎回の返済額を減らす「返済額軽減型」という2つの方法があります。
公庫融資は、当初10年と11年目以降で金利が変わる「段階金利制度」採用しています。
注意したいのが「段階金利制度」と「繰上返済」の関係です。公庫融資で間短縮型の繰上返済を行っても、返済11年目以降の高い金利が早く適用されることはなく、借入から延べ10年間はそのまま当初の金利が適用されます。
したがって、公庫融資は最初の10年間に繰上返済するほどそのメリットはさらに大きくなるといえます。これも段階金利制ならではのポイントだといえるでしょう。
繰上返済の順序の目安としては、
- 金利の高いローン
- 変動金利型ローン
- 返済期間の長いもの
- 借入額の多いもの
- 借入額の少ないもの
という順でするとよいでしょう。
借換え
借換えには、
- 公的融資から銀行などの民間住宅ローンに借換えるもの
と
- 銀行など民間ローンどうしでの借換え
の2種類があります。借換えの際には、返済期間を短くし、ローン残高が着実に減るよう工夫したいものです。
新しく住宅ローンを借りる際と同じように諸費用もいろいろとかかってきます。印紙税、保証会社事務手数料、ローン保証料、火災保険料、登録免許税、司法書士手数料などの手数料が必要となります。住宅ローンの借入金額や借換え後のローンの返済期間のどによってことなりますが、10万円から数十万円程度みておいた方がいいでしょう。
借換えで得をするには、その諸費用以上に利息の支払が少なくなることが前提となります。おもな条件は次の3つです。
- 借換え前後の住宅ローンの金利差
固定金利どうしで借り換える場合は、1%あれば、まず間違いなく借り替えたほうが効果的です。固定金利型から変動金利型への借換えについては、借換え後の返済期間にもよりますが、おおむね1.5%以上の金利差はほしいところです。
- 住宅ローンの残高
500万円がひとつの目安です。ローン残高が1,000万円以上残っているなら、この条件は十分クリアします。
- 住宅ローンの残りの返済期間
やはり10年以上が目安だといえるでしょう。
金利差はないが手持ち資金はある程度持っているという人は、手持ち資金を充当することによって借換えで利用するローンの借入金額を少なくし、返済期間を一気に短縮してしまう方法をとることで借換え効果が大きくなります。
実はこれが最も効果の上がる方法なのですが、「借換え」と「繰上返済」をダブルで利用するわけです。