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クリーニングでシミがついた

Q.

 春にクリーニングした冬物のスーツを半年ぶりに出してみたところ、シミがついていました。クリーニングの預り証には「引き取ってから10日以内にお申し出下さい」という記載があります。今からでも賠償してもらえるでしょうか。

A.

 クリーニングの事故(紛失やシミなど)について、クリーニング業者にその原因がある場合には、「クリーニング事故賠償基準」によって損害が賠償される制度があります。

 この制度は業者側の団体(全国クリーニング衛生同業組合連合会)が、多数のクリーニングトラブルを定型的に処理するための制度で、「Sマーク」や「LDマーク」のクリーニング店で使われています。この制度は自分のところで洗濯をする業者だけでなく、取次店の場合にも適用されます。

 しかし、賠償基準では、消費者が洗濯物を受け取った後6ヵ月経過すると、クリーニング店は賠償基準による賠償を免れることになっています(クリーニング事故賠償基準7条2項)。したがって、賠償基準に基づく請求は6ヵ月以内になさなければなりませんが、預り証の「10日以内にお申し出下さい」との記載は法的に消費者を拘束するとはいえません。

Q.

 私の場合は6ヵ月を過ぎてしまっているのですが...。

A.

 クリーニング業は、民法上「請負」とされています(民法632条)。そして、この場合、請負の目的物(スーツ)に瑕疵(シミ)があったといえますから、洗濯物を受け取ってから1年以内であれば損害賠償の請求ができます(民法634条637条)。

 ただし、シミの原因がクリーニングにあったことの証明は、あなたがすることになっています。この証明は難しいことが多いため、紛争を避けるためにもできるだけ受け取った時点でチェックするのが望ましいでしょう。

Q.

 「クリーニング事故賠償基準」によった場合、どのくらいの額を賠償してもらえるのでしょうか?

A.

 衣服の再取得価格に、その使用期間、使用頻度、傷み具合などを考慮した補償割合をかけて賠償額を算定します。

 例えば、半年前に10,000円で買った冬物の背広にシミがついていた場合、購入時からの経過期間に相応して常識的に使用されていると認められれば、9,000円(再取得額の90%)が賠償されることになります。

 また、洗濯物を紛失した場合のように、その衣類のもともとの価格もわからないような場合は、クリーニング料金の40倍(ドライクリーニングの場合)又は20倍(ランドリーの場合)が賠償されることになります。

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