先日、若くて美しい女性が私の友人からの紹介だといって訪ねてきました。
彼女は、「最近は資格がないと、大学を卒業していても就職は難しいですよ。」「この教材なら、英検2級の資格は余裕をもって取れます。」などと言葉巧みに英検受験の教材を勧めてきました。
見本のテープが聞き取りやすく、添削後の答案の見本がびっしり赤ペンで書き込まれていたこともあり、ちょうど大学3年で就職のことを真剣に考えるようになっていた私は、「英検2級らくらく6ヵ月コース」という20万円の教材を、クレジットによる分割払いで買う契約をしました。
ところが、届いた教材で勉強してみると、テープには雑音が多く入っている上、添削指導もあまり赤ペンが入っておらず十分なコメントも添えられていません。
これなら買わないほうがよかったと悔やまれてなりません。
何とか解約する方法はないでしょうか。
学習教材の訪問販売やこれに付加されている添削指導等については、特定商取引法の適用があります。また、学習教材の販売が主であれば、割賦販売法の適用もあります。
ご相談のケースの場合、学習教材の購入契約のほか、信販会社とのクレジット契約についても、一定の期間、無条件で解約できるクーリングオフ制度を利用する余地があります。
クーリングオフについては、業者に申し出たのですが、「すでに教材を使って勉強しておられ、クーリングオフの期間も過ぎているので、クーリングオフはできません。」という答が返ってきました。
どうすればよいのでしょうか。
ご相談のケースの場合、最初に呈示された見本と実際の内容が異なることは明らかですから、勧誘手段として詐欺的な方法が採られたものとして、錯誤(民法95条)による無効や、詐欺(同96条1項)による取消を主張することができると考えられます。
また、契約内容通りのサービスを提供する義務の不履行や商品の瑕疵を理由として契約を解除することもできるでしょう(同541条、570条、566条)。
契約を解除したのですが、信販会社から、支払を求められています。支払わないといけないのでしょうか。
契約が無効または取り消された場合や、解除された場合、信販会社への支払を拒むことができます(割賦販売法30条の4)。