私は入社してまだ4ヶ月なのですが、夏、旅行に行きたかったので、有給休暇を会社に請求したところ、「君にはまだ有給休暇はない」といって、仕事を休ませてもらえませんでした。会社が私に有給休暇を認めないことは許されるのでしょうか。
有給休暇については労働基準法が定めているのですが、同法39条1項は雇入の日から起算して6ヶ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10日の有給休暇を与えなければならないと規定しています。
ただし、入社後6ヶ月以上勤務した者にしか有給休暇を与えないとすると、従業員さんの人数が増えてくると管理が大変になります。従業員さんがすべて同じ日に入社したのならともかく、中途採用等で従業員さん毎に入社日が異なる場合は、従業員さん毎に入社日と勤続年数を管理する必要があり、毎月何人かの従業員さんの有給休暇の更新が発生し、事務手続きだけで大変になります。
そこで、この様な規模の大きな会社は従業員さん毎に6ヶ月経過後に有給休暇を付与するのではなく、毎年特定の日に一律に有給休暇を付与してしまいます。この方式を俗に「基準日方式」といいます。
基準日方式を導入している会社では、採用日から6ヶ月経過するまでに、基準日が来る場合があります。例えば、基準日が6月1日の会社で、4月1日採用の従業員さん等です。この従業員さんは、6ヶ月経過後の10月1日に有給休暇が付与されるのではなく、基準日の6月1日に付与されることになります。また、基準日が採用日より6ヶ月以上離れている場合は、6ヶ月経過後に付与されることになります。労働基準法は強行法規ですので下回ることが出来ません。したがって、基準日方式を採用する場合は、基準日と6ヶ月経過日と比べてどちらか早い日に有給休暇が付与されることになります。
例えば、6月1日が基準日の会社で、10月1日採用の人は、翌年の基準日の6月1日に有給休暇が付与されるのではなく、6ヶ月経過後の翌年の4月1日に付与されます。この関係で、「基準日方式」を採用している会社は、労働基準法を若干上回る有給休暇を付与することになります。
ご質問の件ですと、会社が「採用日方式」又は「基準日方式」のどちらを導入しているかはわかりませんが、「君にはまだ有給休暇はない」ということですので、どちらの方式でも条件を満たしていなかったのでしょうね。その意味で会社の判断は誤りではないといえます。
ただし、「仕事を休ませてもらえませんでした。」ということですが、有給休暇がないということと、休めないとは別問題です。欠勤扱いで休むことはできますので、今後の参考にしてください。