うちの娘は、親が言うのもなんですが、美人でスタイルも抜群です。モデルや子役にスカウトされたことも、一度や二度ではありません。が、当人は一向に興味がなく、将来は印度哲学を研究したいなどといっています。
娘にはまだ解らないようですが、経済的にも成功するチャンスですし、若い今のうちからやらせたいのです。親は子供の職業許可権があると聞いたのですが、アルバイトとして就業させることはできませんか
お尋ねの職業許可権とは、「子は親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。」と定める民法823条1項のことを言っておられるのだと思います。また、他に6条が、子が営業を営むには保護者などの許可がいる旨定めています。
民法823条の「職業」には、人や会社に雇われて働く場合と自分で営業を営む場合の両方が入りますから、娘さんの場合はこちらの場合にあたるでしょう。また、労働基準法では「満15歳に満たない児童は、労働者として使用してはならない(56条1項)」と定めていますから、娘さんが15歳以上であれば何の問題もないことになります。
しかし、注意していただきたいのは、親権者にできるのは、あくまで、子供本人が働きたいという場合の許可でしかない、ということです。いくら未成年者で、社会勉強の目的であっても、親がその子の職業を決定できるということではありません。
実際にこの許可権が問題となるのは、子供が進学せず働きたいという場合や、アルバイトもやってみたいと希望する場合などです。親権者は、いったんは許可した後でも、自らの判断で営業許可を取り消したり制限したり(民法6条2項、823条2項)、労働契約を解除したりすることができますが、いずれにせよ子供本人の自己決定権を充分尊重することが必要とされます。いわんや、いくら本人のためと思われても、子供を無理に就業させることはできません