Q.
息子は亡くなった祖父が待ちに待った初孫で、祖父は腕によりをかけて命名しました。ちょっと古臭いとも思いましたが風格のある名前だと思い名付けまして、今に至っています。
ところが近頃暴走族に付き合いができた息子は雰囲気も変わってしまい、こんな名前はダサい、家裁に申し出て付け替える等と言い出す始末です。
こんなことが認められるのでしょうか
A.
名前は氏とともに、公法上も私法上も本人を特定するための大切な記号です。
ところが、名前は親が決定することになっていて、本人が選択することはできません。その後の社会の変化やよんどころない事情があるときまで本人が妙な名前を一生背負って生きていかなければならないとすると、酷な場合もあります。
そういう場合を考慮して、戸籍法107条の2では、正当な事由があれば家庭裁判所の許可を得て戸籍上の名を変更することが認められています。
どのような事由が正当事由にあたるかですが、家業の継承者が代々同じ名を襲名する習慣となっている場合とか、異性と紛らわしい場合、悪名高き犯罪者と同名になってしまった場合などは認められるようです。「田中角栄」という名の変更を認めた例があります。
息子さんはファッション感覚で名前を変えたいと思っているようですが、認められるのは難しいのではないでしょうか。恣意的な改姓・改名を許すと法的安定性が害される恐れがあるからです