親権(1)
離婚届が受理されれば、原則としてその瞬間に離婚は成立してしまいます。手続きが簡単なだけに、弁護士や行政書士に相談なく離婚届を提出して、後からトラブルになるケースも少なくありません。
そこで、離婚前に決めておく6つの重要なポイントと、離婚の交渉をする際の配偶者からの暴力の対処法について解説していきます。
☆重要な6つのポイント☆
- 親権
- 養育料
- 財産分与
- 年金分割
- 慰謝料
- 子との面接交渉
まずは、親権のご説明をします。
1.親権
親権には、「財産管理権」と「身上監護権」の2つの権利が含まれています。
親権者とならない夫婦の一方が子の養育をする場合は、親権者から「身上監護権」を分離するという約束を、原則として離婚届とは別に契約書などで定めておく必要があります。
これは、未成年の子がいる場合、離婚届には親権者の指定をしますが、身上監護権者を指定する欄が用意されていないためです。
つまり、契約書などで身上監護権者を定めてから離婚届を提出しますと、離婚届に記載された親権者には、原則として「財産管理権」のみが与えられることになります。
なお、親権者と身上監護権者を別人とすることは、法律上は可能ですが、あまりおすすめしないです。
例えば、高校や大学の願書提出にあたり、「保護者は親権者とは別ですが良いですか?」などと子の口から言わせることになるケースが多く、あまりに酷と思われるからです。
では、夫婦の双方が親権者になりたいと主張した場合、どのような基準で判断されるのでしょうか。
次回は、親権を定める基準について解説します。
※ このコラムの内容で損害が生じても責任を負いません。
※ このコラムは2007年4月に執筆、2008年4月に改定されたものです。