離婚をするための調停で、夫が離婚後の子供の養育費などを毎月定額支払うと約束しました。最初はきちんと支払っていたのですが、最近は支払いも滞りがちになっています。夫に養育費の支払いを求める場合、改めて裁判をしなければならないのでしょうか。
夫に養育費の支払いを求める際に改めて裁判をしなければならないかどうかは、離婚調停の際に養育費の支払いについて調書に記載されているかどうかによって決まります。
離婚調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、その記載は確定判決と同様の効力を有し(家事審判法21条1項)、これに基づいて強制執行をすることができます(民事執行法22条7号)。
したがって、養育費の支払いについて調停調書に記載があれば、裁判所に強制執行の申立てをすることで、相手方の財産を差押え、それを換価することで養育費を支払ってもらうことができます。
また、家庭裁判所の調停で定められた養育費の支払義務については、義務者に対して履行を促すように求めること(履行勧告)ができ(家事審判法15条の5)、家庭裁判所は、相当と認めるときは、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当の期限を定めて義務の履行を命ずること(履行命令)ができます(家事審判法15条の6)。なお、義務者がこの命令に正当な事由がなく従わないときは、10万円以下の過料に処されます(家事審判法28条)。
これに対し、調停調書に記載がない場合には、改めて養育費の支払いについて調停・審判・訴訟などの手続をとる必要があります。
離婚後、親権者を変更するためには、家庭裁判所の手続による必要があります(民法819条6項)。具体的には、家庭裁判所に親権者変更の調停または審判を申立てることになります。この申立ては、父母のほか、子供の親族が行うこともできます。
親権者の変更にあたっては、子供の福祉という観点から、現在の生活状況その他一切の事情を考慮した上で決定されます。
ご相談の場合は、それが事実なら、親権者の変更が認められる可能性が高いでしょう。
なお、お子さんは高校1年ということで、15歳以上であると考えられますので、必ずお子さんの意見を聞く必要があることに注意してください(家事審判規則72条、54条)。