さて、前回、行政書士の業務の中で、比較的多い業務に許認可を得るための申請があると書きました。したがって、関係法令、通達、先例の研究が必要であり、行政機関の理解を得やすい文書を作成するように努める必要もあります。
しかし、意外に大変なことは、依頼者を説得することであったりします。
例えば、1,000万円の工事を受注した建設業者が、自分は何もせずに利益(50万円)だけを抜いて、950万円で別の業者にその工事を請け負わすこと(丸投げと言います)は建設業法で禁じられています。
しかし、現実には、このようなことも残念ながら行われているようです。そうすると、周りで丸投げをやっている業者がいるのを見ている人は、まさかそれが違法だと思わないでしょうから、中には、丸投げをすることを前提に建設業の許可��\x92申請しようとする人が出てきます。
そこで、まず、丸投げが違法行為であることを説明します。しかし、「○○は丸投げをやっているけれど、建設業の許可を持っているではないか。」と反論されます。もちろん、こちらも丁寧にそれが違法行為であることを繰り返し説明します。
たしかに、駐車禁止区域だからといっても駐車をする車があるように、建設業法違反だからといっても言うことを聞いていただけない方はいらっしゃいます。
しかし、士業にとって大事なことは、この言うことを聞いていただけない方への対応だと思います。目先の報酬に心を奪われて違法を承知で業務を受託するか、自己の良心と信念に従うか。
助成金の不正受給や脱税行為が発覚し逮捕されるニュースがときおり報道されますが、行政書士、社会保険労務士、税理士といった士業者が手を貸していることが少なくありません。このようなニュースに接する度にやるせない気持ちになります