最近、司法書士報酬等の費用につき見積書まで要求されることが多くなりました。転居する際に、複数の引越し業者に見積書を求めまた業者にかかる情報を入手し、サービス内容とそれに対する費用が妥当か、顧客が比較検討し、引越し業者を選定することと同じことが司法書士に対しても行われていると思う今日この頃です。
司法書士の場合、従来は「報酬規定」という法務大臣お墨付き公共料金が設定されていたのですが、これが撤廃されました。これまでは、公共料金だからという説明で納得してもらい公共料金的司法書士報酬を顧客に請求していたのです。
現在行われている司法制度改革の中で、司法書士もその存在意義を問われていますが、今、司法書士は自身が提供するサービスについてその報酬を再考する岐路に立たされています。これまでの公共料金は通用しないのです。やはり司法書士の不慣れな顧客満足度を考えたサービス内容と報酬が必要なのです。
ところで、昔あるホテルのレストランで、顧客に、提供された料理について料金を決めてもらうという実験が行われました。レストラン側であらかじめ設定した料金と顧客のそれと比較し、レストランが提供した料理について、顧客の満足度を判定したわけです。
やはり顧客満足の観点から、サービス内容の改善と報酬の決定をする必要がありますが、司法書士の場合は現在、暗中模索といったところでしょうか。
さて、銀行等の金融機関には必ずといっていいほど、融資に当たっての抵当権設定登記手続を行う司法書士がいます。通常債権者である金融機関は債務者である顧客に対して金融機関が指定する件の司法書士を指定し、抵当権設定登記手続を行います。債務者である顧客は、依頼する司法書士を選択する余地がなく、やむを得ず立場上強い債権者である金融機関の指示に従うしかないのです。結果的に「司法書士報酬についてとやかくいうな!」ということです。
しかし例えばこの場合、債務者である顧客指定の司法書士と金融機関指定の司法書士の各々の司法書士報酬を比較して、前者の方が廉価であれば、それこそ顧客サービスになり、顧客も喜ぶに違いありません。前・後者いずれの司法書士も債権者・債務者双方のために登記手続を受託するものであり、前者が債権者である金融機関の不利益になるような行為をするはずはないのですが...。金融機関の皆さん、一度ご検討下さい。
今回は、日頃疑問に思うこと書いてみました。
次回は、前回の「消費者金融のCMと多重債務者」の続きを書き綴ります