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改正派遣法のポイント(2)

 改正労働者派遣法および職業安定法のポイントをみる2回目です。

 前回は、派遣期間の緩和についてみましたが。2回目の今回は派遣先による直接雇用の申し込み義務等についてみていきます。

2. 派遣先による直接雇用の申し込み義務、雇用の努力義務

・ 直接雇用の申込義務とは?

 今回の労働者派遣法の改正では、派遣期間制限に抵触する日を超えて派遣スタッフを受け入れようとする、あるいは受け入れた場合、派遣先に直接雇用の申し込みが義務づけられます。

 この「申し込み」とは、すなわち派遣先企業から、派遣スタッフに対して、「うちで働きませんか(直接雇用の形で)。」と派遣スタッフに申し出ることを言います。これに対し、派遣スタッフが「わかりました、働きましょう。」と承諾をすれば、労働契約が派遣先と派遣スタッフとの間に成立することになります。

 この申し込みについては、次のような2つのケースについて、さらに細かく規定されることになりました。

1) 派遣受入期間の制限がある業務(販売、営業職など)
 派遣受入期間の制限への抵触日以降も引き続き派遣労働者を使用しようとする場合は、派遣先は、派遣先に雇用されることを希望する派遣労働者に対して、契約にあたっての賃金や労働時間といった労働条件を示すなどして、抵触日の前日までに直接雇用契約の申し込みをしなければなりません。
 派遣労働者が当該派遣先に雇用されることを希望しているかどうかは、雇用契約の申し込み義務が課せられている派遣先が、自ら派遣労働者に希望の有無を確認することにより把握しなければなりません。
 派遣元は派遣スタッフに対し派遣期間の制限に抵触することとなる最初の日を明示すると共に、派遣期間の制限に抵触することとなる最初の日の1月前から前日までの間に、抵触する日以降は派遣を行わない旨の通知を行う義務があります。
 
2) 派遣受入期間の制限がない業務(事務用機器操作、ソフトウェア開発など)
 (1) 同一の業務に同一の派遣スタッフを3年を超えて (※1) 受け入れており、(2)その業務に新たに労働者を雇い入れようとするとき (※2) は、派遣先は、これまで受け入れてきた派遣スタッフに対し優先的に、今後直接雇用を申し込むための労働条件の提示などを行い、労働契約の申し込みを行わなければなりません。
 この場合でも、この派遣スタッフが今後も派遣スタッフとして継続して働くことを望む場合は、直接雇用する義務はなく、引き続き派遣スタッフとして受け入れることができます。
 
(※1)
「3年を超えて」とは、当該3年を超える期間中に、労働者派遣の受け入れを停止していた期間があった場合であっても、当該停止期間が3ヶ月に満たない場合には、「3年を超える期間継続して」労働者派遣の役務の提供を受けている場合として取り扱われます。
(※2)
「労働者を雇い入れる」とは、特に雇い入れの形態は問わず、常用雇用にかぎらないものです。(いわゆる在籍型出向の場合は、一定期間経過後に出向元企業へ復職することが前提なので、この場合の雇い入れには該当しません。)

 新たに労働者を雇い入れようとする業務について、3年を超えて受け入れている派遣労働者が、雇い入れようとする人数を超えている場合については、3年を超えて受け入れている派遣労働者全員に対し、雇用契約の申し込みを受ける地位に対する応募に機会を与えた上で、試験等の公平な方法により、雇用契約の申し込みを受ける派遣労働者を選考します。

・ 直接雇用の努力義務とは?

 派遣先は、派遣就業の場所ごとの同一の業務(派遣受入期間の制限のある業務、販売、営業職など)について、派遣元事業主から継続して1年以上派遣受入期間以内の期間派遣労働者を受け入れていた場合であって、引き続き同一の業務に労働者を従事させるため、その派遣労働者を受け入れていた期間(派遣実施期間)が経過した日以後、労働者を雇い入れようとするときは、その同一の業務に派遣実施期間継続して従事した派遣労働者を遅滞なく雇い入れるよう努めなければなりません。

 ■ 雇い入れるのは、次の要件を満たす派遣労働者です。

  1. 派遣実施期間が経過した日までに、派遣先に雇用されて同一の業務に従事することを希望する旨を派遣先に申し出たこと。
  2. 派遣実施期間が経過した日から起算して7日以内に派遣元事業主との雇用関係が終了したこと。

 申し込みの義務と直接雇用の努力義務。この両者は少しわかりにくいところであるが、申し込み義務は、販売、営業職など、3年の期間の制限ある場合と、事務用機器操作やソフトウェア開発など期間の制限のない場合について、他の労働者を雇い入れるくらいなら、それまで派遣できていた労働者に優先的に申し込みを行うべきだという趣旨である。

 直接雇用の努力義務とは、販売、営業職など最長3年の期間の制限がある場合に、期間が満了したとき、他の労働者を雇い入れるくらいなら、派遣スタッフを雇い入れるよう努力をしてほしいという趣旨である。

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