不正競争防止法は、事業者間の公正な競争などを確保するために、不正競争行為を類型化して、民事上の救済手段と刑事上の罰則を定めています。ルールに基づいた公正な競争が行われることによってこそ、国民経済の健全な発展が実現されるからです。
不正競争防止法によって、不正競争行為とされる行為の類型は以下の9つです。
- 1. 周知表示混同惹起行為 (2条1項1号)
- 他人の氏名、商号、商標など(商品等表示)として需要者に広く認識されているものと同一、または類似の表示をしたり、そのように表示した商品を譲渡などして、他人の商品または営業と混同させる行為
- 2. 著名表示冒用行為 (2条1項2号)
- 他人の著名な商品等表示と同一または類似のものを自己の商品名等表示として使用したり、そのように表示した商品を譲渡などする行為
- 3. 商品形態模倣行為 (2条1項3号)
- 他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡などする行為
- 4. 営業秘密に関する不正行為 (2条1項4号~9号)
- 営業秘密を不正に取得したり、不正に取得した営業秘密を使用・開示したり、正当に取得した営業秘密を不正な利益を図る目的または営業秘密の保有者に損害を与える目的で使用・開示する行為など
- 5. コンテンツ(映像・音等)にかけられている技術的保護を無効にする装置の譲渡等 (2条1項10号~11号)
- 映像・音・プログラムにかけられたアクセス制限やスクランブル(暗号化)、コピーガードを無効化する機能のみを有する装置等を譲渡などする行為
- 6. ドメイン名の不正登録等 (2条1項12号)
- 不正な利益を受ける目的または他人に損害を与える目的で、他人の氏名、商号、商標などと同一・類似のドメイン名を使用する権利を取得、保有する行為、またはドメイン名を使用する行為
- 7. 品質・内容等の誤認惹起行為 (2条1項13号)
- 商品やその広告・取引用書類・通信に、その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途もしくは数量について誤認させるような表示をし、またはそのように表示した商品を譲渡などする行為。または、サービス自体やその広告・取引用書類・通信に、そのサービスの質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、またはそのように表示したサービスを提供する行為
- 8. 信用毀損行為 (2条1項14号)
- 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、または流布する行為
- 9. 代理表示等冒用行為 (2条1項15号)
- 外国の商標権者の承諾を得ずに、その代理人などが、正当な理由がないにもかかわらず、その権利にかかる商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品・サービスに使用する行為
○ 今回のまとめ
- 不正競争防止法では、9種類の行為について民事上の救済手段と刑事上の罰則を定めています
次回は「不正競争防止法に関するQ&A」をお送りします