子との面接交渉(1)
前回までは、慰謝料について簡単に解説してきました。これで、コラム第1回目で述べました5つの重要ポイントの4つのご紹介を終えたことになります。
今回からは、最後に「子との面接交渉」についてご説明します。
6.子との面接交渉
子との面接交渉とは、親の事情で子が親に会えない状況をなくすために、子の福祉(幸せ)を目的として裁判所に認められている権利です。
この権利については、「子どもの権利条約」には子の権利として記載があるものの、父親に直接与えられた権利ではなく、民法にも規定はされていないです。
つまり、父親にとっては、「子の代わりに請求できる」といった、反射的な権利でしかないことになります。太陽の光を反射した月の光程度の権利とお考え下さい。
「面接交渉は父親固有の権利」との考え方も出来そうですが、仮にそのような解釈をしましても、きわめて弱い権利であることは同じです。
上記のような権利ですので、父親から請求をしましても、「子の福祉に適さない」と親権者が言えば、回数や方法は簡単に制限されてしまうことになります。また、仮に合意書を作成していましても、「子が嫌がりだした」「子の体調がすぐれない」と言われれば、会えないことになってしまうことがほとんどです。
離婚の一般向けの書籍を読みまして、妻と連絡を取る口実のために請求する方や、慰謝料減額の交渉材料として面接交渉権を主張している男性が散見されますが、相手の感情を逆なでするだけですので、おすすめしないです。
純粋に子と会いたいものの、相手方の合意が得られない方は、家庭裁判所に調停の申し立てをして、「運動会などで遠くから応援をするのみ」、「メールや電話のみ」、「物で釣るようなことはしない」、「子が望めば会えるように夫の住所を伝えて欲しい」など、子の福祉を害さない面接方法を提案してみて下さい。
次回は、面接交渉にあたっての注意すべき点についてご説明します。
※ このコラムの内容で損害が生じても責任を負いません。
※ このコラムは2007年4月に執筆、2008年4月に改定されたものです。
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