サイト内検索:

「道路交通法と警察の取締りについての公開質問」に対する回答

 2005年4月21日、「法、納得!どっとこむ」を運営するNPO法人リーガルセキュリティ倶楽部は、警察庁 交通局交通企画課、東京都公安委員会委員長 大西勝也氏、大阪府公安委員会委員長 青木敏行氏宛に、読者の皆さまからお寄せいただいたご意見とともに「道路交通法と警察の取締りについての公開質問」を送付いたしました。
 これに対し、2005年5月16日に警察庁 交通局交通企画課よりご回答いただきましたので、ご報告を兼ねて以下に掲載いたします。なお、東京都公安委員会委員長、大阪府公安委員会委員長からはご回答いただくことができませんでした。


質問事項1への回答

質問1. 今回、全国の皆様から寄せられたアンケートの結果は別紙の通りです。
このアンケートの結果をご覧いただき、どう思われますか。ご感想をきかせて下さい。

警察庁 交通局交通企画課からの回答

 貴法人が実施されたアンケート結果については、今後の交通警察行政を推進するに当たり、参考にさせていただきたいと思います。

質問事項2への回答

質問2. 約半数が「実態に合わない規制」を原因としてあげており、その中に次のような意見が多くあります。法定速度や制限速度は何を基準に定めているのかわからない。一般市民にもわかり易い明確な根拠を示して納得するように決めるべきではないか、またその根拠となる交通環境(交通量、道路の設計、車の性能、歩行者の交通安全への意識等)は時代とともに変化していくものだからその変化にあわせて変えていくべきではないか。
このような意見に対してどうお考えでしょうか。

警察庁 交通局交通企画課からの回答

 車両の最高速度については、道路交通法第22条第1項の規定により、道路標識等により最高速度が指定されている道路においてはその速度を、その他の道路においては道路交通法施行令で定められている法定速度を最高速度とすることとされております。
 まず、法定速度については、道路の設計速度を基本に考えつつ、交通の実態を勘案した上で定められております。
 また、道路標識等による最高速度規制については、都道府県公安委員会が、交通の安全と円滑の確保、交通公害の防止という目的を達成するため、道路の設計速度、道路構造、自動車の実勢速度、交通量、交通事故の発生状況、交通安全施設等の整備状況、沿道環境等の諸条件を総合的に勘案して個別に定められております。
 交通規制については、道路や交通の実態等に照らして、合理的かつ適正に行われるべきものと考えておりますことから、今後も交通実態等の変化を把握するとともに、安全かつ安心に暮らしたいとの地域住民の要望・意見も考慮の上、随時、点検や見直しを行っていきたいと考えております。

質問事項3への回答

質問3. 現在のスピード違反の取締りは、危険の少ないスピードの出やすい場所で実施していることがよくあります。危険な場所よりも点数が稼げる場所を選んで実施しており、これは交通の安全よりも反則金目当てと言われても仕方がない、その証拠に取締る警察官が身を隠してやっている、という多くの意見がありますが、この点は如何でしょうか。

警察庁 交通局交通企画課からの回答

 最高速度違反は、重大な交通事故につながる危険な違反でありますことから、警察としては、交通事故防止を図る観点から、最高速度違反に対する取締りを実施しております。
 取締りに当たって、「取り締まる警察官が身を隠してやっている」とのご指摘ですが、確かに、交通違反取締りは、警察官の姿を見せた取締りのみならず、警察官の姿を見せない取締りがあります。これは、仮に、警察官の姿を見せた取締りだけを実施した場合、警察官の姿が見えない時には交通ルールを無視する運転者が増え、交通事故が多発することが懸念されることから、交通事故防止上、警察官の姿を見せない取締りも実施することも必要であるとの考え方によるものです。

質問事項4への回答

質問4. 多くの方が交通違反を取締る警察官にはノルマ制があると信じています。取締りによる反則金について予算確保を目的とした数値目標や個々の警察官に対する数値目標が実際にあるのでしょうか。

警察庁 交通局交通企画課からの回答

 交通違反取締りに当たっては、交通の実態、交通事故の発生状況、交通違反の実態、国民の取締り要望等を勘案して、取締り時間帯や取締り場所を選定し、悪質・危険性、迷惑性の高い違反に重点を指向した取締りを実施しております。
 なお、予算確保を目的をした数値目標はありません。

質問事項5への回答

質問5. 運転者の法律を守る意識の低さを指摘する意見もかなりあります。スピード違反は違法行為をやっているという意識に乏しいようです。その原因として、制限速度に合理性がなく、捕まっても悪いことをしたという反省ではなく、運が悪かったと思う人が多いようです(例えば、高速道路で覆面パトカーに捕まった場合)。国民に道路交通法への遵法意識をもたせ、例え捕まっても運が悪かったのではなく悪いことをした、もう二度としまいという反省の気持ちをもたせる為にどのような対策をとっておられるでしょうか。

警察庁 交通局交通企画課からの回答

 交通違反取締りに当たっては、交通の実態、交通事故の発生状況、交通違反の実態、国民の取締り要望等を勘案して、取締り時間帯や取締り場所を選定し、悪質・危険性、迷惑性の高い違反に重点を指向した取締りを実施しております。
 また、違反者に対しては、取締りの現場において、交通事故の発生実態等から取締りを実施したことについての理由を説明したり、違反者を対象とする講習を受講させるなどの方法により、反省の気持ちや遵法意識を持たせるよう努めております。

質問事項6への回答

質問6. いくら車の性能や衝突安全性が向上しても、安全なのは車に乗っている人であり、歩行者にとっての危険性が減少する訳ではありません。車は歩行者にとって走る凶器であることは変わりません。この意味で歩行者への危険がある一般道において、車の性能が上がったから今の法定速度はおかしいという考えは間違っているという指摘もあります。ところで、交通事故をなくすためには、交通教育が何よりも大事であることは言うまでもありません。成人だけでなく、近い将来運転者として参加してくる子供への交通教育は現在どのように行われているのでしょうか。具体的に教えて下さい。

警察庁 交通局交通企画課からの回答

 交通事故をなくすためには、国民一人一人が常に交通ルールを守り、交通事故を起こさないよう、あるいは、交通事故に遭わないように行動することが必要不可欠であり、そのためには、ご指摘のとおり、交通安全教育の果たす役割は極めて重要であると考えております。
 警察においては、関係機関・団体と協力しつつ、国家公安委員会が定めた交通安全教育指針を基準として、幼児、児童、中学生、高校生といった各段階毎に必要な交通安全教育を段階的かつ体系的に実施しているところであり、引き続き、その充実に努めていきたいと考えております。

■今回の「道路交通法と警察の取締り」は、本法人の設立趣旨を踏まえ、法律の建前と市民感覚のかい離が甚だしいテーマについて読者と一緒に掘り下げて考えてみようという企画「皆で考えよう、法の建前と現実」の第5回テーマとして実施されたものです。

ページトップへ