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三たび、NHK問題-受信料の支払い義務を法律で明文化するのをどう思いますか

1.

 当ホームページは、2004年11月、NHKの不祥事の頻発に抗議した受信料の支払い拒否が激増した際に「NHKの受信料問題」の特集を組み、広く皆様のご意見を募りました。2005年10月には、NHKが不払者に対し、法的措置を導入する法的根拠とその正当性について特集し、ふたたびNHK問題を俎上にのせました(詳細については、当ホームページの第1回「NHKの受信料問題」-2004年11月2日と第11回「受信料不払者に対する法的措置の導入について」-2005年10月11日の特集をご覧下さい)

 1月25日、安部内閣にとって最初の通常国会が招集されました。この国会では受信料の不払いがNHKの財政基盤を危うくしている現状を打開するために、「受信料支払い義務」を明記した放送法の改正案が提出され、審議される予定です。

 今回はこの放送法の改正と受信料支払い義務化について考えてみましょう。

2.改正放送法の内容

  1.  今回の改正案では、NHK放送を受信できる受信設備(例えばテレビ等)を設置した者は、NHKに対して受信料を支払わなければならないことが明文化されます。現行法では、テレビ等を設置しても当然に支払義務が発生するわけではなく、「NHKと受信契約を締結しなければならない」と記されているだけです(放送法32条)。受信料の支払義務はこの契約をして初めて発生するのです。改正法によれば、テレビ等を設置することにより当然に支払義務が発生し、別途受信契約をする必要はなくなります。なお、不払い者に対して罰則を科すべきだという意見もありますが、今回の改正で罰則規定が設けられるかどうかは不明です。
  2.  加えて、この改正案には受信料について新たな三つの制度が用意されているようです。
    (1)
    通告の義務-テレビ等を持っていることをNHKに隠して、受信料の支払いを不正に免れることを防止するため、テレビ等を新たに設置した人は、その日付をNHKに連絡しなければならないという義務。
    (2)
    割増金の支払義務-テレビ等を設置した日付を偽るなどして、受信料の支払いを不正に免れた場合は、支払いを免れた受信料に加えて、割増金を支払わなければならないという義務(割増金は支払いを免れた受信料の2倍程度といわれています)。
    (3)
    延滞金の支払義務-これまで受信料を払っていた人が何らかの理由で途中から支払いを怠った場合は、ビデオの延滞金のように、受信料の延滞金を支払うという義務。
  3.  また、総務省は、NHKの短波ラジオ国際放送に対して、放送すべき事項を指定し、命ずることができるとし、NHKはこれに応じなければならないという規定を新たに設けるようです(命令放送と応諾義務)。以上のような改正は、一言でいうとNHKの受信料徴収権限の強化と、NHKを実質的に国民の税金で運営される「国営放送」化することです。

3.NHKの現状と態度

  1.  1月18日の日経新聞(朝刊)によりますと、2006年度のNHKの受信料収入は6,060億円と3年ぶりに上向き、2007年度も6,130億円の増収を見込んでいるようです。これは、支払拒否をしている人達を裁判所を通じた法的手続きにより威嚇した結果です。不祥事を理由とする不払い件数が2005年9月の128万件をピークに減少していったのは、決してNHKの改革と改善の努力を評価したせいではありません。
  2.  総務省から、NHKに対し従来3つの改革案が提示されました。
    (1)
    2005年4月1日現在、NHKの関連企業団体として、23の株式会社、5つの財団法人の他に学校法人、福利厚生団体が各1つ、計30の法人があります。これを削減する経営のスリム化の要請に対して、NHKは反対しています。
    (2)
    現在、チャンネル数として、テレビが5波、ラジオが3波と国際放送がありますが、このチャンネル数の削減に対してもNHKは反対です。
    (3)
    総務省は受信料の支払義務を法律に明文化する代わりに、受信料を2割程度下げることを提案しましたが、これも厳しいとし、NHKは0回答です。
  3.  このような経営のスリム化とは逆に、NHKは、2008年から過去の番組をネットで有料配信し、2009年からは本格的な国際放送の開始を計画する等、事業の拡大、肥大化を図っていく方針のようです。

4.総務省の狙い

  1.  2年前にNHKの不祥事が連続し、不払いが急増した時点では視聴者の6割が「NHKを民営化し、受信料制度も廃止すべきだ」と答え(日経新聞2005年1月24日朝刊)、民営化の議論が有力になりました。それが「NHKは特殊法人とする閣議決定がある」という小泉発言で、受信料の「支払い義務化」「不払いへの罰則化」など受信料制度の強化策へと流れたのはなぜでしょうか。これは受信料の税金化であり、NHKの「国営放送」化ではないでしょうか。
  2.  1926年に発足したNHKの前身である「日本放送協会」は、軍国主義的な政府の管理下で、虚偽の「大本営発表」を繰り返し報道し、国策宣伝機関となっていました。放送法を改正して「命令放送」と「応諾義務」を定めることは、NHKの報道の自由を奪い、戦前の「国営放送」に再び近づけることではないでしょうか。
  3.  総務省の改正案は、NHKを「国営放送」化しつつ、受信料の2割値下げを打ち出しています。そうしないと国民の理解を得られないと言っています。これは、拒否すればNHKを悪者とし、値下げが実現すれば行政府の手柄とする、7月の参院選へ向けた巧妙なパフォーマンスとは考えられないでしょうか。

5.NHKへの不信

  1.  NHKは受信料収入という安定した豊かな財源に依存した経営を行っており、そこには市場の経済原理は働いていません。従って、視聴者の意見を真剣に聞かなくとも成り立っていくという体質に陥りやすいようです。受信料を税金化し、「国営放送」化すれば益々その傾向は強まっていくでしょう。
  2.  NHKは、チャンネル数の削減、組織のスリム化、企業統治の強化などの身を削る努力をまず先にすべきです。これを全て拒否しながら、受信料の義務化によりわが身を守ろうという姿勢では、視聴者の支持は得られないというべきでしょう。
  3.  日経新聞2007年1月23日の夕刊には
    「NHKは6,000億円の受信料収入を得るのに、800億円の徴収コストをかけている」という記事が掲載されていました。同じ紙面に「上司の指導や叱責がストレスになったNHKの記者が民家七軒に連続放火をし、懲役7年の実刑判決を受けた」という記事もありました。

 さて、今回は「放送法を改正し、受信料の支払いを法律で義務化することについて、あなたはどう思いますか」の1点について皆様の考えをお尋ねします。

 アンケートにお答えいただき、積極的にご意見を書き込んでください。

法律による受信料の義務化について

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