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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第197号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□


2004. 9.21                           第197号
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 発行部数:16,023部(まぐまぐ 14,055部、melma! 1,926部、Macky! 42部)
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 当メルマガを発行しているNPO法人リーガルセキュリティ倶楽部では、
 登録している各種専門家が、あなたの相談を法律的に検討し、その解決の
 糸口を提供します。専門家に依頼した場合の費用についても相談できます。
       https://www.hou-nattoku.com/asp/index2.html

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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第185回
    「隣地との境界ははっきりさせなければならない?」
    http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/335.php

  □ 法、納得!どっとこむ 新着情報

  □ 【法人向け】CSRとコンプライアンス
       ~“当世”リーガルリスクマネジメント事情~ 最終回
    http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/special/csr/04.php

  □ なっとく! ランキング

  □ 編集後記 「敬老の日に思う」



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■ なっとく!法律相談 第185回
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  「隣地との境界ははっきりさせなければならない?」

 □相談□

  隣の家が、「境界線をはっきりさせたい」という話を持ちかけ
 てきました。
  隣家が主張する境界線は彼らに著しく有利なものであるうえ、
 私としては急ぐ問題でもなく、今境界を定めなければならない理
 由はありません。
  私も多忙ゆえ、できれば放っておきたいのです。しかし、話し
 合いに応じなくても良いのでしょうか?
                        (20代:男性)

 □回答□

  隣地の所有者から「公図と境界が違う」などといわれるケース
 は珍しくありません。が、結論から申し上げれば、今の段階で境
 界の測り直しに応じなければならないという法的義務はありませ
 ん。
  どうしても正確な境界を画定したいのであれば、測量士を派遣
 して協力を求めてくる、裁判所に調停を申し立てるなどのアクショ
 ンを起こしてくるでしょう。それまで放っておいても、問題はあ
 りません。
  ただ、境界の問題はこじれることも多いので、特別の事情がな
 いのであれば、最終的には協力してあげるのもいいのではないで
 しょうか。もちろん、測量費用などの負担については、予め話し
 合っておくことです。

  土地の境界を定める上で第一の基準となるのは、境界石です。
 境界石がない場合でも、外部から認識が可能で境界を表すもの、
 例えば、塀、溝、樹木、古い石垣や植え込みなどがあれば、それ
 が隣地との境界を表すと考えられます。
  それらの境界を越境して土地を使用しているような場合には、
 不法行為として損害賠償を請求されることがありますので、注意
 してください。


 [関連情報]
  ・土地の境界についての争い (隣近所のトラブル)
   http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/kinrin/next1.php

  ・隣地との境界に塀を建てたいが… (なっとく法律相談)
   http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/47.php

  ・隣地との境界に崖。補修費用は私持ち? (なっとく法律相談)
   http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/58.php

  ・隣家から家の中が丸見えだが… (隣近所のトラブル)
   http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/kinrin/next4.php



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■ 法、納得!どっとこむ 新着情報 ( 04/09/15 ~ 04/09/21 )
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  前号から今号までの間にホームページ「法、納得!どっとこむ」
 に新しく掲載された記事をご紹介します。

  9月21日 家事をしない「専業主婦」の妻と離婚できる?
                         (なっとく法律相談)
      http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/334.php

  9月17日 CSRとコンプライアンス(3) (法人向け特集)
      http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/special/csr/03.php

  9月16日 破産手続をすると管財人は勝手に郵便物を見られる?
                         (なっとく法律相談)
      http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/333.php



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■ 【法人向け】CSRとコンプライアンス
         ~“当世”リーガルリスクマネジメント事情~ 最終回
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                     弁護士 三平 聡史

 4.コンプライアンス


  企業のリーガルリスクマネジメントとして重要なことは法を遵
 守すること(コンプライアンス)である。これが、最終的に、企
 業にとって利益をもたらすことは当然ではあるが、これまでの歴
 史において、十分に徹底されていたとは言えなかった。これにつ
 いて、以下述べる。

  企業がモラル主体であるということは、外部から強制されて倫
 理的な存在になるのではなく、自主的に倫理的な存在となること
 である。したがって、企業がモラル主体であるならば、企業のあ
 り方を変える主要な路は、企業が自主的に倫理規範を企業内部に
 制度がすることに求められる。
  近年注目されているコンプライアンスはそのことに関連するこ
 とがらであり、モラル主体として単に法令だけでなく社内規則や
 道徳を含めた社会規範を遵守するために「コンプライアンス・プ
 ログラム」を構築している企業が少なからず存在している。

  このコンプライアンス・プログラムのコアとなるのが倫理綱領
 である。その倫理綱領を中心に考えると、コンプライアンス・プ
 ログラムは、倫理綱領、倫理委員会、倫理訓練プログラム、倫理
 監査、から構築される。そしてコンプライアンス・プログラムが
 有効に機能するかどうかは、いかなる内容の倫理綱領を制定しど
 のように徹底させるのか、にかかってくる。だがこれはそれほど
 簡単な問題ではない。

  倫理綱領とは「当該企業の全般的な価値体系を明示し、その目
 的を明確に規定し、それらの原則に従って意思決定に一定のガイ
 ドラインを提供するもの」であり、企業行動規範(行動憲章)と
 称せられることもある。
  アメリカでは、企業倫理への関心が高まるにつれてそのような
 関心に応える形で、倫理綱領を制定する企業が急速に増加していっ
 た。それは1970年代中頃のことであり、そのような動きは今日で
 は「倫理綱領運動」と呼ばれている。
  だがそれは必ずしも「成功」したわけではなく、ある調査研究
 では倫理綱領と企業不祥事の減少に相関関係を見いだせなかった
 ことが指摘されている。簡単にいえば、倫理綱領の制定が組織改
 革にまでつながらなかったのだ。

  ただし、このことは倫理綱領の意義を低下させるものではない。
 なぜならば、モラル主体としての企業の核となるものは倫理綱領
 であるからである。課題は、倫理綱領になにを盛り込みそれをど
 こまで企業内で周知徹底できるか、そして有効なチェック体制を
 構築できるか、にある。

  自主規制とは逆に企業をモラル主体とみなすことに反対の立場
 をとれば、企業のあり方を変える方途として政府による「社会的
 規制」が重要視される。
  規制という言葉には、現在一種のアレルギー反応が見られ、規
 制が諸悪の根源であるかのような世論が形成されているが、これ
 は「経済的」規制と「社会的」規制を峻別していないために生じ
 る現象である。
  確かに政府の規制(法令)は「両刃の剣」であり、それによっ
 て、政府のパワーが「巨大な」ものとなることは避けられないこ
 とであるとしても、そのことが社会的規制の意義の否定につなが
 るものではない。

  汚染防止、作業域の安全と健康、消費者保護、平等な雇用機会
 の保障、等々の社会的目標の実現をめざした社会的規制はわれわ
 れの社会に必要不可欠なものであり、それは、経営倫理の観点か
 らいえば、企業に対する「不祥事を起こさないように」というメッ
 セージとして「抑止力」の意味をもつのであり、本来のデバイス
 (倫理綱領の制定)と連動すればより大きな効力を発揮しうるで
 あろう。
  具体的な事例として、現在立法化が話題となっている「内部告
 発者保護法」を考えてみる。公益通報者保護制度の「直接の」目
 的は内部告発者の保護であるが、別の観点からすれば、その「究
 極の」目的は企業不祥事を防ぐことにあるのではないか。
  このような理解にたてば、公益通報者保護制度(社会的規制)
 は企業が「自助努力によって倫理的な存在」となることへの「大
 きな外圧」として機能することが期待される。

  コンプライアンス体制の構築にあたっては、現場の情報がトッ
 プに行き渡る組織作りをしなければならない。もし、現場で不祥
 事が起きた場合に、トップが「私は知りませんでした」では済ま
 されないのである。


  コンプライアンスを企業が実践していくためにはどうすればよ
 いであろうか。

  まず、大前提として、規定を作らなければならない。では誰が
 作るのが良いか。
  これは企業内に専門的な部署を設ける、専門家である外部の弁
 護士等に依頼するなどの手段が考えられる。予算不足であれば専
 門家にアドヴァイスを求めるということもあり得よう。専門家で
 あれば容易に指摘できる問題点であっても、専門家に相談せずに
 これを看過し、事後的に大きな損失を被ってから学ぶということ
 は稀ではない。

  規定を作ったならば、それを実践する。このとき、経営トップ
 がまずなによりも実行しなければならない。それによって、社員
 が忠実にコンプライアンスを実践するようになる。従業員任せで
 はいけない。
  そして、コンプラインスが実践されているかを確認しなければ
 ならない。チェックシートなどを用いた管理体制、確認作業を実
 行し、反省点をあぶりだして、それを次のコンプライアンスの実
 践に生かさなければならない。

  最後に、規定は最初から完璧というものはなく、企業により、
 理想的な規定は異なるし、時代の変遷で規定が現状にそぐわなく
 なる事もある。コンプライアンスの実践→反省→改善を繰り返す
 ことで、そしてコンプライアンス規定そのものも改定することで、
 企業は持続的に成長する。そして、既に述べたように、規定の改
 定の際には、専門家の意見を参考にすべきである。
  経営トップと同様に、コンプライアンス規定の作成、改定に関
 わる専門家も、当然、現場の声に真摯に耳を傾ける態度でなくて
 はならないであろう。
                           (以上)



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■ なっとく!ランキング ( 04/09/12 ~ 04/09/18 )
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 第1位 NHKの受信料、払わなければならない?
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/143.php

 第2位 台風の影響で車に傷がついたけど、これって誰の責任?
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/331.php

 第3位 定価でのチケット譲渡もダフ屋行為になる?
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/332.php

 第4位 うっかりして運転免許証を紛失!
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/accident/menkyo.php

 第5位 有給休暇の取得日数が査定に響くなんて許される?
     http://www.hou-nattoku.com/frameset.php?page=/consult/330.php


  今週は3位に先週掲載した「ダフ屋行為」についての相談がラ
 ンクインしました。「NHKの受信料」は検索エンジン経由で見
 に来られる方が多いのですが、毎週上位にランクインしており、
 この疑問に対する関心度の高さがうかがえます。

  ここには現れていませんが、7位には「単なる『保証人』と
 『連帯保証人』とはどう違う?」がランクインしています。サイ
 ト内検索でも「連帯保証人」というキーワードで検索される方が
 もっとも多くなっていました。

  なっとくサーチ:<連帯保証人>
  http://www.hou-nattoku.com/search/search.php?query=%CF%A2%C2%D3%CA%DD%BE%DA%BF%CD


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■ 編集後記 「敬老の日に思う」
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  昨日20日は「敬老の日」。
  総務省がまとめた今月15日現在の推計では、わが国の総人口の
 19.5パーセントが、65歳以上の「高齢者」で占められるそうだ。
  また、高齢者のいる世帯は、日本の全世帯数の3分の1以上にも
 達する、という。

  昨今、「年寄りは引っ込んでいろ」という論調は、さすがに減っ
 てきたように感じる。
  それは、個性ある生活を自力で送っておられる、前向きで元気
 な方々が増えたせいもあろう。
  しかし、新聞が報じない、テレビ局も取材に行かない、…華々
 しくもなく、「物語」になることもない、そんな市井の老人たち
 がいなくなったわけではない。
  彼らの生活を向上させることこそ、行政の責務、責任のはず。
 「敬老の日 御祝い」を配って歩くばかりが能ではあるまい。
                          (さつき)

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監 修:弁護士 密 克行、弁護士 浅井 健太、弁護士 中西 啓
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