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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第358号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

            週2回発行(月・木曜日)


2007年 8月30日                         第358号
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 発行部数: 24,381部(まぐまぐ 17,706部、melma! 6,519部、Yahoo! 156部)
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■ 目 次
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  □ 法律クイズ 第32回
    「衆議院議員選挙、立候補できるのは誰?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0058.php

  □ なっとく! 法律相談 第348回
    「亡くなった息子の嫁から家を出て行けと言われています」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/626.php

  □ 新着情報

  □ 皆で考えよう、法の建前と現実 第32回
    「日本の弁護士制度 その3 - 弁護士による法律事務の独占-」
    http://www.hou-nattoku.com/enq/archive/32_lawyer3.php


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■ 法律クイズ 第32回
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 「衆議院議員選挙、立候補できるのは誰?」

 □問題□

  衆議院が解散され、今年中に衆議院議員選挙が行われる予定です。かね
 てから政治家を志していた日本国民のA(19歳)、B(23歳)、C(29歳)は、
 それぞれこの選挙に立候補しようと考えています。次のうち、立候補でき
 るのは誰でしょう?

 1.A、B、C全員ができる
 2.B、Cができる
 3.Cだけができる


 回答は、法納得どっとこむ
 http://www.hou-nattoku.com/quiz/0058.php
 を見よう。



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■ なっとく!法律相談 第348回
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 「亡くなった息子の嫁から家を出て行けと言われています。」
 

 □相談□

  20年前に自宅を購入しました。自宅の購入資金は私が全額出しましたが、
 登記は私の息子名義にしました。その後、息子は結婚し子供も産まれまし
 た。私は、息子・嫁・子供と同居していました。ところが先日、息子が病
 気で亡くなり、お通夜の席で嫁から「家を出て行って」と言われました。
 私は嫁の主張に対抗することはできないのでしょうか。
                            (70代:女性)


 □回答□

  嫁さんがあなたに対して「家を出て行って」と言ったのは、嫁さんが息
 子さんから自宅を相続しその所有権を取得したことを根拠としていると思
 われます。嫁さんが自宅を相続するためには、息子さんの死亡時に自宅が
 息子さんの所有であったことが必要となります。
  では、息子さんの死亡時に自宅は誰の所有であったのでしょうか。一方
 で、息子さんは自宅の所有権登記名義を有しています。他方で、自宅の購
 入代金はあなたが支出しています。このような場合、自宅の所有権は息子
 さんとあなたのいずれに帰属するのかが問題となります。
  自宅の所有権の帰属については、自宅の売買契約の買主がいずれであっ
 たかを検討する必要があります。すなわち、売買契約(民法555条)を締結
 すると、目的物の所有権は買主に移転する(民法176条)ことから、自宅の
 買主が息子さんとあなたのいずれであったかを確定しなければなりません。

  あなたが売買契約の買主として自宅を購入しその資金を支出した場合、
 自宅の所有権はあなたに帰属します。この場合、息子さん名義の所有権登
 記は実体を正確に反映していないものですから、その効力を有しません。
 そうすると、息子さんの死亡時に自宅は息子さんの所有ではなく、嫁さん
 は自宅を相続しないから、嫁さんは、あなたに対して「家を出て行って」
 という権限を有しません。したがって、あなたは嫁さんの退去要求を拒否
 することができます。
  自宅を購入したのが20年前であることからすると、嫁さんは自宅の時効
 取得(長年にわたって物を占有した場合に物の所有権を取得する制度:民
 法162条1 項)を主張する可能性があります。しかし、本件で時効取得が成
 立するためには、息子さんが「所有の意思をもって」自宅を占有していた
 ことが必要になります。自宅の売買契約の買主があなたであることからす
 ると、客観的に息子さんには「所有の意思」を認めることができません。
 したがって、息子さんの立場を相続した嫁さんには時効取得は成立せず
 (民法185条、162条1項)、嫁さんは退去要求する権限を有しないから、あ
 なたは退去要求を拒否することができることになります。

  これに対して、息子さんが売買契約の買主として自宅を購入する際、あ
 なたがその購入資金を息子さんに贈与したということが考えられます。こ
 の場合、自宅の所有権は息子さんに帰属します。息子さんの死亡時に自宅
 は息子さんの所有であったので、嫁さんは自宅の2分の1を相続することに
 なります。嫁さんは、あなたに対して「家を出ていって」という権限を有
 することになります(民法252条但書)。
  もっとも、あなたが自宅の購入資金を全額支出したことやあなたと息子
 さん家族が同居して生活していた事実からすると、あなたと息子さんとの
 間では、あなたがずっと自宅に住んでもよいということが了解事項となっ
 ていたと推測できます。そこから、あなたと息子さんの間には「あなたが
 自宅で居住すること」を目的とする黙示の使用貸借契約(民法593条)が成
 立する可能性がありあす。すなわち、息子さんはあなたに対して自宅の使
 用権を与えていたと考えることができそうです。黙示の使用貸借が成立し
 ていたとすると、嫁さんは、息子さんの使用貸主の地位を相続することに
 なります。そして、あなたはいまだ居住目的に従って自宅を使用中である
 から、嫁さんのあなたに対する「家を出て行って」という主張に対して、
 あなたは、自宅の使用権限を有することを理由として退去要求を拒絶する
 ことができます(民法597条2項本文)。
  仮に、使用貸借契約が成立していなかったとしても、あなたが自宅の購
 入資金を全額支払ったことや現在まで同居していたこと、息子さんのお通
 夜の席で突然「家を出て行って」と言ったことからすると、嫁さんの主張
 は権利の濫用(権利の行使が社会性に反し是認することができないこと:
 民法1条3項)となり、その主張はそもそも認められないと考えることも可
 能です。

  いずれにしても、あなたは嫁さんの「家を出て行って」という要求を拒
 否できると考えます。

  [関連情報]
  ・長年にわたって無断使用されている土地
   http://www.hou-nattoku.com/consult/428.php


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■ 法、納得!どっとこむ 新着情報
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 「法、納得!どっとこむ」に新しく掲載された記事をご紹介します。

  8月29日 義務教育を受けず自宅で教育しても良い?
      http://www.hou-nattoku.com/quiz/0057.php



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■ 皆で考えよう、法の建前と現実
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  第32回:日本の弁護士制度 その3 弁護士による法律事務の独占
 └───────────────────────────────┘

 設問:弁護士による法律事務の独占(投票総数:372票)

  弁護士法72条を厳格に解し、弁護士以外の法律業務の取扱いは一切認め
  るべきではない。	 
  |||| 32票 (9%)

  現在のように、法律業務は、原則として弁護士以外は取り扱えないとす
  るべき。	 
  |||||| 46票 (12%)

  法律業務のうち、専門性・難度の高いものだけは弁護士の独占業務とし、
  それ以外は弁護士以外も扱えるようすべき。	 
  |||||||||||||||||||||| 169票 (45%)

  弁護士法72条は、法律業務と利益の寡占を許す不当な規定であるから、
  同条による弁護士の独占は認めるべきでない。	 
  ||||||||||||||||| 125票 (34%)
  
                       (8月30日 12時00分現在)


 ▼いただいたご意見(読みやすいように一部編集しています)
 
 【弁護士法72条は、法律業務と利益の寡占を許す不当な規定であるから、
  同条による弁護士の独占は認めるべきでない。。】
 
 弁護士及び法律事務所に対するイメージとして、
 ●費用が高い●些細な相談は受け付けてもらえない●どこに行けばよいか
 判らない、というものがあり、一般の人が相談したくてもなかなか相談に
 行けないというものがあります。もちろん、正式な資格もなく法律知識も
 ない人が、いい加減な対応で金銭を稼ぐ、ということは防がなければいけ
 ませんが、いろいろなケースを想定しパターン分けして簡易的な資格を与
 えて、裾野を広げるべき。報酬体系も、医療制度と同じように案件に応じ
 て点数制にして明確にして、法律相談を受けられるようにすべき。場合に
 よっては訴訟手続きも取り扱えるようにする。

                            (40代:男性)


 【弁護士法72条を厳格に解し、弁護士以外の法律業務の取扱いは一切認め
  るべきではない。】

 弁護士の質は無視するものとする。
 72条の裾野を広げると、弁護士が扱う業務の全てが関わるが、弁護士でな
 い者が裁判の弁護も可能になる可能性は有ってはいけないと思う。
 ただし、弁護士に負荷を与えることにする方がいい。
 医師は正当な理由がない限り治療を断ることは出来ない。
 同じように、弁護士も断ることが出来ないようにすればいい。
 医療も弁護も同じように一定の料金基準が設けられているのだから、何ら
 問題ないのでは?
 むしろこの条件がありながら、安いから断るなどは言語道断ではないか。

 債務整理などでは行政書士でも対応している。
 法を変えて弁護士は安い仕事を断ることが出来るままよりは、弁護士に安
 い物でも文句を言わずにやらせるべき。

                            (30代:男性)


  今回は2名の方の意見を掲載させていただきました。
  この他にも多くのご意見をいただいています。刻々と変化するアンケー
  ト結果やその他のご意見を読みたい方は、

  http://www.hou-nattoku.com/enq/view_opinion.php

 にアクセスしてみてください。引き続き、ご意見お待ちしております。
 
 >> http://www.hou-nattoku.com/enq/





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