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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第524号

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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2010年 3月15日                        第524号
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 発行部数: 21,138部(まぐまぐ 15,401部、melma! 5,516部、Yahoo! 221部)
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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第512回
    「裁判員も法に拘束されるの?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/907.php

  □ 法律クイズ 第198回 【問題】
    「受動喫煙防止対策をしなければならない場所は?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0387.php

  □ 裁判員のための一口判例解説
    第十二回 「胎児傷害[水俣病刑事事件]」

  □ 法律用語 「起訴猶予」

  □ 法律クイズ 第198回 【解答】



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■ なっとく!法律相談 第512回
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 「裁判員も法に拘束されるの?」

 □相談□

  裁判官の判決は自由な判断で法にのみ拘束されると以前どこかで読んだ
 ことがありますが、裁判員も法に拘束されるのでしょうか?

                           (30代:男性)


 □回答□

  裁判員も「法令に従」う必要はありますが、法律知識が必要なわけでは
 ありません。

  裁判官は、中立の立場で公正な裁判をするために、その良心に従い独立
 して職権を行い、「憲法及び法律にのみ拘束される」とされています(日
 本国憲法76条)。
  これは、裁判官の職権の独立を宣言するとともに、裁判が客観的な法規
 範に準拠して行われるよう、裁判官も憲法や法律には拘束されると定めた
 規定です。

  他方、裁判員も、「法令に従い」公平誠実にその職務を行わなければな
 らないとされています(裁判員法9条)。一般人が参加する裁判員裁判と
 はいえ、裁判は客観的な法規範に準拠して行われなければならないことか
 ら定められた規定と考えられます。

  そのため、裁判員が法令(憲法や法律、条例、政令など)に反するよう
 な職務をすることはできません。
  とはいえ、裁判員が事前の知識として法令を知っている必要はありませ
 ん。裁判の過程の中で法律知識が必要な場合は、その都度裁判官や検察官、
 弁護人からわかりやすく説明されるので、心配ありません。
  むしろ、裁判員制度は、法律をよく知らない市民の視点を裁判に活かす
 ことを目的としているので、心配せずに参加しましょう。 


  [関連情報]
  ・裁判員候補者に選ばれた!
   http://www.hou-nattoku.com/citizen-judge/cj001.php



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■ 法律クイズ 第198回 【問題】
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 「受動喫煙防止対策をしなければならない場所は?」

  最近は空前の禁煙ブーム。喫煙席と禁煙席をはっきり分ける喫茶店も多
 いですね。法律上も、受動喫煙の防止策をとる義務のある施設が定められ
 ています。それでは、以下のうち、その義務を負っていない施設はどれで
 しょうか?

 1. 学校
 2. 病院
 3. 百貨店
 4. 飲食店
 5. すべて義務を負っている


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための一口判例解説
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  第十二回 「胎児傷害[水俣病刑事事件]」
      ~最高裁昭和63年2月29日第3小法廷決定~

  人はいつから「人」として法の保護を受けられるのでしょうか?
  有毒物など、何らかの作用により傷害を受けた胎児が出生して「人」に
 なった場合、これがその生まれてきた「人」に対する傷害といえるかは悩
 ましいところです。
  今回紹介する判例では、こうした傷害を受けたことに加え、それが原因
 で死亡した場合、「人」に対する過失致死罪が成立するかが問題となりま
 した。

  熊本県水俣市の、化学製品製造を業とする新日本窒素肥料株式会社(現
 チッソ株式会社)の元代表取締役社長X、同社水俣工場の元工場長Yは、と
 もに同工場の業務全般を統括し、操業及びこれに伴う危険発生防止等の業
 務に従事していました。
  2人は、在任中の昭和33年9月から同35年8月までの2年間、同工場のアセ
 トアルデヒド製造工程で副生した塩化メチル水銀を含有する廃水を、過失
 によって、水俣川河口海域に連日排出させました。こうしたことが原因で
 同海域の魚介類が汚染され、妊娠中のBがこれを摂取してしまったのです。
  Aは胎児の段階でしたが、Bの胎内で汚染魚介類の影響を受け、いわゆる
 胎児性水俣病に罹患しつつも出生。しかし、当該病気が原因の栄養失調・
 脱水症により、Aは12歳9ヶ月の生涯を閉じました。

  第1審の熊本地裁は、胎児には「人」の機能の萌芽(出生時に完全な
 「人」となるよう順調に発育する能力)があるとしました。胎児に外部か
 ら有害な侵害行為を加え、この萌芽を傷害した場合は、出生後「人」に対
 する業務上過失致死罪と評価できるような致死の結果を生じさせる危険性
 が充分にあるとも考えました。そして、傷害の実行行為時に客体である
 「人」が現存している必要はなく、致死結果が生じた時点で客体である
 「人」がいれば足るとし、X・Yに業務上過失致死罪の成立を認めました。
  原審の福岡高裁も、胎児傷害については第1審判決を基本的に踏襲し、
 控訴を棄却。X・Y側はこれを不服とし、上告にのぞみました。
  最高裁は、上告を棄却する決定を下しました。
  現行法上、胎児は母体の一部として取り扱われていると判断したのです
 (独立の行為客体として特別に規定されている堕胎の罪を除く)。ですか
 ら、業務上過失致死罪の成否を論ずるにあたっても、胎児に病変を発生さ
 せることは、人である母体の一部に対するものとして、「人」に病変を発
 生させたと考えます。この点、行為時に母体という「人」の現存を求める
 ことから、行為時に「人」の現存を求めない原審とは異なります。
  そして、胎児が出生し「人」となった後、この病変が原因で死亡した場
 合は、結局、「人」に病変を発生させて「人」に死の結果をもたらしたと
 いえるから、病変の発生時において客体が「人」であることを要するとの
 立場を採ると否とにかかわらず、過失致死罪が成立するとしました。



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■ 法律用語
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 法律用語 「起訴猶予」

  この犯人にはどんな刑が科されるのかとニュースの動向を一生懸命見守っ
 ていたけれど、結局「起訴猶予」で終わってしまう。この犯人が有名人な
 らなおのこと、なんだか肩透かしをくらったような気分ですよね。
  起訴猶予制度とは、検察官に起訴・不起訴の決定権を与えるもので、公
 訴(刑事訴訟)を提起するに足る疑いや証拠があり、訴訟条件を満たして
 いる場合でも、検察官が訴追不要と判断すれば、裁量により起訴しないこ
 とを認める制度をいいます(刑事訴訟法248条)。
  起訴猶予を受けた事実は、前歴にはなるものの、前科にはなりません。
 裁判上の確定判決で、刑の言い渡しを受けなければ前科にはならないため、
 裁判すら受けない起訴猶予はこれにあたらないからです。
  裁量の基準は、犯人に関する事項(犯人の性格・年齢・境遇)、犯罪自
 体に関する事項(犯罪の軽重・情状)、犯罪後の事情(犯罪後の情況)の
 総合判断です。
  犯人の「性格」としては、素行・性癖・習慣・健康状態・前科・前歴・
 常習性の有無などが挙げられています。また、「年齢」では若年・老年が、
 「境遇」では、家庭環境・職業・交友関係などが考慮されます。
  犯罪白書によれば、平成19年に検察が処理した人員は、起訴率35.9%、
 不起訴率54.7%。このうち起訴猶予率は50.2%にのぼります。さらに、殺
 人罪の起訴猶予率は1.9%、強盗罪の起訴猶予率は2.7%と、重大犯罪にお
 いても起訴猶予が行われているのです。
  このような広範な裁量を検察官に認める理由は、不必要な起訴をできる
 限り減らすことで、被告人の手続の負担を軽減させようという点にありま
 す。
  しかし、この権限行使には、公訴提起に関する検察官の判断が恣意的に
 なり、独善に陥る危険性も伴います。こうした弊害を防ぐために、起訴す
 べきか否か等を判断し、2度にわたり起訴すべきとの判断が下されれば、
 検察官の判断にかかわらず起訴手続をとる検察審査会が設置されています
 が、全ての事件に対して審査されるものではないため、検察官の良心に頼
 る部分はまだまだ大きいといわざるを得ません。



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■ 法律クイズ 第198回 【解答】
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 「受動喫煙防止対策をしなければならない場所は?」

 □解答□

 5. すべて義務を負っている

  多数の者が利用する施設の管理者は、受動喫煙を防止するために必要な
 措置をとるべき努力義務を負っています(健康増進法25条)。
  この「多数の者が利用する施設」の例示として、「学校、体育館、病院、
 劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店」
 が挙げられています。
  よって、本問においては、学校、病院、百貨店、飲食店のすべての施設
 が、受動喫煙を防止するために必要な措置をとるべき努力義務を負ってい
 るのです。もっとも、努力義務にとどまるので、この義務に違反したとし
 ても罰則規定はありません。



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