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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第526号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2010年 3月29日                        第526号
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 発行部数: 21,138部(まぐまぐ 15,401部、melma! 5,516部、Yahoo! 221部)
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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第514回
    「公務員でも副業できる?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/911.php

  □ 法律クイズ 第200回 【問題】
    「地震で家が全壊したら、いくら補償してもらえる?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0391.php

  □ 裁判員のための一口判例解説
    第十四回 「電車転覆による人の死の責任 -三鷹事件-」

  □ 法律用語 「刑法上の錯誤」

  □ 法律クイズ 第200回 【解答】



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■ なっとく!法律相談 第514回
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 「公務員でも副業できる?」

 □相談□

  最近よくある、無料ポイント換金サイトでポイントを金銭に交換する行
 為は、法律上副業になるのでしょうか?副業にならないのならやってみた
 いと思っています。ちなみに、私は公務員です。

                           (30代:男性)


 □回答□

  どの程度そのサイトを利用するかにもよりますが、副業にあたる場合も
 あるでしょう。

  副業とは、本業以外の仕事のことをいい、主に収入を得るために行われ
 るものです。
  その形態はアルバイトや内職など様々なものがあり、最近では、ご相談
 の場合のように、アンケートやクリックをしただけでポイントが貯まり、
 それらを現金や電子マネーに交換できるサイトを利用する形態もあるよう
 です。

  一方、公務員は、多くの私企業と同じく、職務専念義務が定められてい
 ます(国家公務員法101条、地方公務員法35条)。
  また、その職の信用を傷つけたり、その職員全体の不名誉となるような
 行為をしたりすることも禁止されています(国公法99条、地公法33条)。
  さらに、営利企業等に従事することも禁止されています(国家公務員法
 103条、地方公務員法38条)。
  国家公務員であれば、営利企業などの役員、顧問、評議員の職を兼ねる
 こと、又は自ら営利企業を営むことが禁止されています(国家公務員法103
 条)。これに違反すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という
 刑事罰に処されます(109条13号)。
  地方公務員は、国家公務員より広く、許可を受けずに、営利企業の役員
 などの地位を兼ねること、自ら営利的な私企業を営むこと、又は報酬を得
 ていかなる事業や事務に従事することが禁止されています(地方公務員法
 38条)。これに違反すると、刑事罰の定めはありませんが、戒告や減給、
 停職などの懲戒処分の対象になります(29条1項)。

  それでは、ご相談の場合のように、「無料ポイント換金サイトでポイン
 トを交換して金銭にかえる行為」は、公務員として許される行為といえる
 でしょうか。
  まず、職務専念義務との関係から、勤務時間中にそれらを行えないこと
 はもちろん、仕事に支障をきたすほどの長時間それらを行うことはできな
 いと考えられます。
  また、それらの行為が、あなたの職種の信用を失墜させるような行為に
 あたる場合も、行うことができません。
  さらに、アンケートに答えたり、クリックしたりすることでポイントを
 現金に換える行為は、サイトの事務に従事して報酬を得ているとして、地
 方公務員法上の「報酬を得て...事務に従事すること」にあたると解され
 る余地もあります。
  そのため、どの程度そのサイトを利用するかにもよりますが、法律上禁
 止されている副業にあたる可能性はあるといえます。 


  [関連情報]
  ・国家公務員がオークションに出品する行為は違法?
   http://www.hou-nattoku.com/consult/515.php



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■ 法律クイズ 第200回 【問題】
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 「地震で家が全壊したら、いくら補償してもらえる?」

  Aさんは、大地震により自宅が全壊してしまいました。新しく自宅を建
 て替えなければなりません。このとき、Aさんは、都道府県からいくら補
 償されることができるでしょうか?

 1. 100万円
 2. 200万円
 3. 300万円


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための一口判例解説
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  第十四回 「電車転覆による人の死の責任 -三鷹事件-」
      ~最高裁昭和30年6月22日大法廷判決~

  線路上しか走らないはずの電車が、線路を外れ、自分に向かってきた
 ら・・・
  考えただけでも恐ろしい話ですが、実際に起こった事件なのです。

  昭和24年7月15日午後9時23分頃(当時のサマータイム。現在の午後8時23
 分)、被告人は、国鉄三鷹駅構内の車庫に入庫中の7両編成の無人電車を
 発進させました。被告人は先の国鉄人員整理で解雇を宣告された人間で、
 駅出口に設置された一旦停止の標識で脱線させ、電車の入出庫を妨害する
 計画を立てていました。
  しかし、運転者なしで暴走を始めた電車は、被告人の予想に反して一旦
 停止の標識を過ぎ、時速60キロを越す猛スピードでホームの車止めに衝突、
 脱線しました。そして転覆しながらそのままホームや改札、駅前交番を破
 壊して進み、道路を横切って商店街にまで突っ込む大惨事に。
  この結果、6人が死亡、20人が重軽傷を負いました。

  刑法は、125条1項で、損壊その他の方法により汽車・電車の往来の危険
 を生じさせる行為を2年以上の有期懲役と規定しています(往来危険罪)。

  さらに、126条3項では、人が現在する汽車・電車を転覆または破壊して、
 人を死亡させた者を、死刑もしくは無期懲役に処すと示しています(汽車
 転覆等及び同致死罪)。
  また、127条では、125条の罪を犯した結果、予想外に電車・汽車を転
 覆・破壊させてしまった場合も、126条と同様に故意犯として扱うとして
 います(往来危険による汽車転覆等罪)。
  これらは全て、汽車・電車が人々の交通手段に与える影響が大きく、生
 命・身体・財産に及ぼす危険も甚大だという事情を鑑みたものです。

 これらの規定を用いた今回の事例では、

 (1)刑法127条は126条と同じ故意犯の扱いをすると定めているが、この
    126条は126条3項も含む趣旨か。
 (2)犯行に使われた電車が無人電車だったことから、126条3項にいう
    「人」には、車外の人が含まれるか。という点が争われました。

  第1審判決は(1)も(2)も肯定し、刑法127条、126条3項を適用し、被
 告人を無期懲役に処しました。原審も、第1審判決の法令の適用を是認。
  量刑についてのみ第1審判決を破棄自判し、被告人を死刑に処しました。
  被告人は、(1)の点は否定されるべきで、原審は127条の解釈適用を
 誤った違法があり、明文の法律がないのに刑罰を科したものであって、法
 律がなければ刑罰を加えられないとする憲法31条違反だ、等と主張して上
 告しました。

 最高裁の判断は上告棄却。

 (1)の点につき、刑法127条は、125条の罪によって汽車・電車を転覆ま
 たは破壊させ、人を死亡させた場合には、126条3項の例により処断すべき
 ことを規定したものと判断しました。127条は「前条(126条)の例に同じ」
 と規定するのみで、126条3項を除外せず、また126条1項・2項に限定する
 旨の規定も置いていないのだから、文理上当然に、126条各項所定の結果
 が発生した場合には、すべて同条項と同様に処断すべきものとしたのです。
 (2)に関しても、126条3項にいう『人』とは、かならずしも同条1項2項
 の車中船中に現在した人に限定すべきではないとし、車外の人も含むもの
 と認定しました。



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■ 法律用語
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 法律用語 「刑法上の錯誤」

 「錯誤」とは、人の認識と、その認識の対象である客観的な事実が一致し
 ないことをいいます。わかりやすくいえばただの「思い違い」です。
  どのようなトラブルも元は人間の行動ですから、そこに「思い違い」が
 生じている可能性は否めません。ですから、それを取り扱う規定にも、錯
 誤の場合がきちんと考えられています。今回はそんな規定のうち、刑法上
 の錯誤について説明します。

  刑法上の錯誤は、犯行時に故意があったか否かの判断に問題となり、法
 律の錯誤と事実の錯誤に大別されます。
  法律の錯誤とは、行為者に、犯罪に該当する事実を生じさせるという認
 識も、そうした結果が起きても構わないという認容もあるけれど、それが
 違法なことだとわかっていない場合をいいます。たとえば、ある行為を禁
 ずる法律を知らずに実行してしまった場合や、法律の存在を知っていても、
 自分の行為がそれに該当すると思わずに実行した場合です。
  犯罪になると知らなかったのだから故意もなし?と思われるかもしれま
 せん。
  しかし刑法は、こうした場合も基本的には故意ありと判断します(38条
 3項)。法律は公布されている以上、国民ならば知ることのできる状態に
 あったはずですし、「知らなかった」という言い逃れを認めては秩序を保
 てないという理由です。
  ただし、災害などで法令の公布を知りうる状態になく、行為の違法性を
 知る暇がなかった場合や、弁護士会など公的機関に準じる団体の正式見解
 を信じた場合等、故意なしと判断される余地はあります。
  事実の錯誤とは、行為者が自分の行為によって引き起こすと認識・認容
 していた犯罪事実と、現実に発生した犯罪とが一致しない場合をいいます。
 違法かどうか判断するための対象となる事実に錯誤を生じている点から、
 刑法上は基本的に故意が否定されます(38条1・2項)。
  しかし、事実の錯誤に該当するケースは一様ではありません。
  Aを殺そうとしたのに誤ってBを殺してしまったけれど、結果は同じ殺人
 というもの。
  Aを殺そうと狙撃したのに、弾がそれてAの傍らにいた犬が死んだ(器物
 損壊)ような、結果が違う犯罪になってしまうものなど、実にさまざまで
 す。
  それぞれに性質が違うため、一律には扱えず、どのような場合に故意を
 否定するか争いがあります。
  また、法律上の錯誤と事実上の錯誤の明確な区別も難しく、実際の事案
 でも、両方にまたがるようなケースが多くあります。
  どちらの錯誤と判断されるかによって故意の有無が決まり、故意なしな
 ら無罪の可能性も出てきます。元はただの思い違いでも、錯誤は、とても
 重要な局面を担う概念なのです。



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■ 法律クイズ 第200回 【解答】
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 「地震で家が全壊したら、いくら補償してもらえる?」

 □解答□

 3. 300万円

  地震や豪雨などの「自然災害」により著しい被害を受けた者は、生活を
 再建するために、都道府県から支援金を受け取ることができます(「被災
 者生活再建支援法」に基づく)。
  都道府県は、その都道府県の区域内において被災世帯となった世帯の世
 帯主に対し、その世帯主の申請に基づいて、支援金を支給します。

  支援金の額は、(1)住宅の被害程度に応じて支給される「基礎支援金」
 と、(2)住宅の再建程度に応じて支給される「加算支援金」の合計額で
 す。
  地震により自宅が全壊してしまい、新しく立て直さなければならないA
 さんの場合は、(1)基礎支援金の100万円に加え、(2)加算支援金の200
 万円を支援してもらうことができます。よって、合計で300万円を支給し
 てもらうことができます。



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