「知らなきゃ損する!面白法律講座」第607号
http://www.hou-nattoku.com/
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□□ 知らなきゃ損する!面白法律講座 □□
週1回発行(月曜日)
2012年 1月23日 第607号
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発行部数: 19,945部(まぐまぐ 14,445部、melma! 5,500部)
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■ 目 次
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□ なっとく! 法律相談 第595回
「離婚協議中の中国人妻が子供を連れて中国に!」
http://www.hou-nattoku.com/consult/1097.php
□ 法律クイズ 第281回 【問題】
「政治資金規正法でOKなのはどれ?」
http://www.hou-nattoku.com/quiz/0581.php
□ 裁判員のための一口判例解説
第九十五回 「牽連犯と併合罪」
□ 法律用語 「譲渡制限株式」
□ 法律クイズ 第281回 【解答】
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■ なっとく!法律相談 第595回
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「離婚協議中の中国人妻が子供を連れて中国に!」
□相談□
中国人妻との間に、3歳の男の子がいます。離婚協議中でしたが妻の判断
で子供を中国に連れて行かれてしまいました。調停前ですが、子供とは二
度とあえないのでしょうか?取り返す、法律はありますか?
(40代:男性)
□回答□
現在のところお子さんを取り返すのは非常に厳しいといえるでしょう。
まず、お子さんが未だ国内にいるのであれば、子の引渡請求の調停や審
判を家庭裁判所に申し立てることができます。さらに、人身保護法に基づ
く引渡請求という方法もあります。しかし、お子さんが既に外国に連れて
行かれてしまっている場合には、当該国の法律によってこの引渡を請求す
るしかありません。
次に、1980年にハーグ国際私法会議で採択された「国際的な子の奪取の
民事面に関する条約」では、一方が外国へ子供を連れ去った場合には、も
う一方の養育権を持つ親が自国の政府などを通じ子供の返還を求めること
ができ、返還を請求された国がこの条約の批准国であれば、相手国の返還
要請に応じる必要があります。
しかし、日本はこの条約に批准しておらず、現状では残された配偶者が
日本の外務省などで相手国に要求するよう請願することもできません。
ですので、相談者が取りうる法的手段としては、中国での弁護士資格を
持つ弁護士を代理人として日本及び中国両方で子の引渡を請求する方法し
かないと考えます。その請求や離婚調停を進める中で、面接交渉権が認め
られればお子さんに会う機会も得られるかもしれません。
[関連情報]
・離婚係争中の妻が養育している子供を連れ去った夫に誘拐罪は成立する?
http://www.hou-nattoku.com/quiz/0241.php
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■ 法律クイズ 第281回 【問題】
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「政治資金規正法でOKなのはどれ?」
以下の政治献金のうち政治資金規正法違反とならない政党に対する政治
献金はどれでしょう。
1. 外国人からの献金
2. 労働組合による献金
3. 匿名での献金
▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼
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■ 裁判員のための一口判例解説
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第九十五回 「牽連犯と併合罪」
~最高裁昭和58年9月27日決定~
犯人の行為が色々な罪にあたる場合、その各罪の関係をどう捉えるかに
よって科される刑の重さが変わります。
身代金目的で誘拐を企てていた被告人Xは、言葉巧みにA(当時7歳)を自
動車後部座席に乗せて走行し、Aを自己の支配下に置いたうえ、Aの実母Bに
電話をかけて身代金の支払いを要求しました[行為(1)]。
身代金要求電話をかける際、Xは、駐車中の自動車内で、Aの両手・両足
を麻縄などで縛り、口にタオルで猿ぐつわをするなどして、Aが脱出できな
いようにしました。
この監禁は8日間にわたりました[行為(2)]。
Xの行為を細分化して見れば、行為(1)のAを誘拐した部分は「身代金目
的拐取罪(刑法225条の2第1項)」、Bに身代金要求電話をした部分は「拐
取者身代金要求罪(同条第2項)」にあたります。
また、行為(2)は「監禁罪(同220条)」です。
問題なのは、この行為(1)と(2)の関係です。
(2)は(1)の手段だと考えるならば、「牽連犯(同54条1項後段)」にな
ります。
牽連犯というのは、数個の犯罪が手段・目的等の関係にある場合のこと
で、科刑時にはひとつの罪として扱われ、「成立する罪のうち最も重い罪
の刑」で処断されます。
(1)と(2)を別物と考えるならば、「併合罪(同45条)」です。
併合罪とは、まだ裁かれていない2個以上の罪(それぞれの罪に手段・目的
のような関係性なし)のことで、基本的に、「成立する罪の中で最も重い
罪の刑の1.5倍」が科刑基準となります。
つまり、併合罪の方が随分と重い刑になるわけです。
1・2審はともに、(1)を身代金目的拐取罪と拐取者身代金要求罪の牽連犯、
(2)を監禁罪と判断したうえで、(1)と(2)の関係については別物と評
価。併合罪を成立させました。
これに対しX側は、(1)と(2)は牽連犯の関係にあるなどと主張して上
告しました。
最高裁は上告を棄却。
XがAを監禁したのはAを誘拐した後であるため、(2)の監禁行為は(1)の
拐取行為の手段とはいえないと考えました。
したがって、(1)の身代金目的拐取罪と身代金要求罪とは牽連犯の関係
に、これら(1)の罪と(2)の監禁罪とは併合罪の関係にあるとした1・2
審は正しいと結論付けたのです。
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■ 法律用語
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法律用語 「譲渡制限株式」
大規模会社にとって、株式は主に資金調達の手段であり、誰が株主であ
るかはさほど重要ではないため、自由に売り買いできるのが普通です。
しかし、同族会社のように株主が誰であるかが重要とされる会社では、
株式が誰の手に渡ってもいいとはいえないため、時に株式の譲渡を制限す
る必要が生じます。
こうした需要に応えてつくられたのが「譲渡制限株式」で、定款に記載
すれば、株式譲渡時に会社の承認を得るという形で株式譲渡を制限できま
す(会社法2条17号、107条1項1号、108条1項4号)。
譲渡制限をかける際には、定款に
(1)株式譲渡に会社の承認が必要であること
(2)一定の場合に会社が承認したと認めるときは、その旨と条件(同136
条・137条1項)
の2点を記載するのですが(同107条2項1号)、一部の株式のみを対象にす
る場合は、その発行可能種類株式総数も併せて記載します(同108条2項4号)。
譲渡制限の定めは、会社設立時に定款に記すほか、条件は厳しくなりま
すが会社設立後に定款変更(同466条)して盛り込むことも可能です(同309
条3項1号等)。
さて、こうした譲渡制限株式に投下した資本はどのように回収すればよ
いのでしょうか。
証券取引所は譲渡制限株式の上場を認めていないので買受希望者を探す
のはなかなか難しいですし、自力で買受希望者を見つけても、会社に承認
を求めることはできますが(同136条)、結局会社側が認めない事態も考え
られます。
そのような場合には、会社の買取りや、指定買取人(会社側の指定する
買取人)による買取りを求めることができます(同138条1号)。
指定買取人による買取りでは、指定買取人が株主に買取りを通知した時
点で、売買契約成立となります(同143条2項)。
売買価格について株主と買取人の合意が得られないときは、当事者や会
社の申立てに応じて裁判所が会社の資産状態等を考慮し、価格を決定しま
す(同144条3項、7項)。
株主や買受人は、この価格に不服があっても、売買契約がいったん成立
した以上、一方的に撤回したり、解除することは許されません(同143条
2項)。
このようなルールは、会社が買い取る場合も同様です(同140条1~3項等)。
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■ 法律クイズ 第281回 【解答】
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「政治資金規正法でOKなのはどれ?」
□解答□
2. 労働組合による献金
政治資金規正法は、政治団体に対して設立の届出と政治資金収支報告書
の提出義務を課して政治資金の流れを明らかにするとともに、政治活動に
関する寄附(政治献金)や政治資金パーティーの制限、株式などによる投
機的運用の禁止など政治資金の取り扱いを直接的に規制した法律です。こ
れに違反した場合には罰則なども課せられます。
まず、同法22条の5は、外国人による政治活動に関する寄付を禁止してい
ます。ですので、(1)外国人からの献金は政治資金規正法上違法な献金と
なります。
次に、同法21条は会社、労働組合、職員団体、その他の団体による、政
党及び政治資金団体以外の者に対する政治活動に関する寄付を禁じていま
す。これは、会社や労働組合等による政党等以外の団体に対する政治献金
を禁止しているものですので、(2)労働組合が政党に献金することは禁止
されていません。
最後に、同法22条の6は「何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政
治活動に関する寄附をしてはならない」としています。ですので、(3)匿
名での献金は政治資金規正法上違法となります。
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